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糖尿病の食事療法

      2015/12/23

糖尿病の食事療法

糖尿病ってどんな病気?
糖尿病とは
糖尿病とは、糖分(ブドウ糖)を体内でうまく利用できない状態をいいます。
車は、ガソリンがないと走れません。これと同じで、人の細胞も臓器も、エネルギーが来なくなれば働くことができません。人は主に、3大栄養素といわれるタンパク質、炭水化物(糖質)、脂質からエネルギーを得ています。
糖尿病とは、これらを含有した食物から得たエネルギー源である糖分(ブドウ糖)を、体のなかでうまく利用できなくなった状態をいうのです。

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ブドウ糖代謝
膵臓の働きのひとつに、ブドウ糖をエネルギー源として活用させる役割があります。
膵臓から分泌されているホルモン、インスリンは細胞のエネルギーとして、ブドウ糖を利用できるように処理する大切な役割を果たしています。
すなわち、インスリンは、体内のあらゆる器官ヘブドウ糖を運ぶ仕組みの歯車を、スムーズに回転させる潤滑油の役割を果たしています。
このような一連の過程を、「プドウ糖代謝」といいますが、この歯車は体内のほかのいろいろな歯車(タンパク質や脂肪の代謝など)と関連して、お互いに影響しあっています。ブドウ糖代謝という歯車が狂ってしまうと、体のなかで異常事態が起こり、ほかのいろいろな歯車の回転はバラバラになってしまいます。

糖尿病は歯車の異常によって引き起こされる

糖尿病とは、歯車の回転に異常が発生し、結果、ブドウ糖をうまく利用できなくなり、血液中のブドウ糖(血糖)濃度が持続的に高くなっている状態をいいます。
糖尿病になると、食物からせっかく取り入れたブドウ糖を血液のなかまで送り込んでいながら、インスリンの量が少ないか、インスリンの作用が弱まっているために、ブドウ糖を体の細胞のなかへ取り込んで、エネルギー源として活用できないのです。

1999年に発表された診断基準
1999年5月に新しい糖尿病の診断基準が発表されました。その一部を紹介します。
■臨床診断
①空腹時血糖値が126mg/dl以上、75gブドウ糖負荷試験(注)の2時間値が200mg/dl以上、随時血糖値が200mg/dl以上のいすれかが、別の日に行った検査で2回以上確認できれば糖尿病と診断してよい。血糖値がこれらの基準値を超えても1回だけの場合は「糖尿病型」と呼ぶ。
(注)ブドウ糖負荷試験とは、絶食状態でブドウ糖を飲み、一定時間(30?60分毎)の血糖値を調べます。ブドウ糖を飲むと血糖が高くなり、膵臓のB細胞からインスリンが分泌されます。そのインスリン作用によって、血糖値が時間的にどう変動するかを調べるのです。飲むブドウ糖の量が75gの負荷試験が一般的です。ブドウ糖を使う理由は、ブドウ糖は膵臓のラングルハンス島のB細胞のインスリン分泌を刺激する作用が強いため、B細胞の機能状態を確かめるには好都合だからです。インスリンの分泌・量が少なければ、血中ブドウ糖の値(血糖値)は高くなり、正常ならば血糖値も正常の範囲を越えることはないわけです。
②(①で述べた)糖尿病型を示し、かつ次のいずれかの条件が満たされた場合は、1回だけの検査でも糖尿病と診断できる。
*糖尿病の典型的症状(口渇、水の多飲、多尿、体重減少)の存在
*HbA1c(グリコヘモグロピン)が6.5%以上
*確実な糖尿病網膜症の存在(眼底出血など)
③過去において上記①、ないし②の条件が満たされていたことが確認できる場合は、現在の検査結果にかかわらず、糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いをもって対応する。
④診断が確定しない場合には、患者を追跡し、時期をおいて再検査する。
⑤糖尿病の臨床診断に際しては、糖尿病の有無のみならす成因分類、代謝異常の程度、合併症などについても把握するよう努める。
糖尿病は、それなりの養生をしていれば、健康な人と変わらない普通の生活ができる慢性の病です。
それには、病気の早期発見と治療が重要です。
最初から症状が出ることは少ないため、検査の結果は放置されやすいのですが、糖尿病と診断されたら、定期的な血糖値の検査と養生を継続することです。

養生とは「命を養うこと」「健康であるように注意すること」「病気の手当てをし、保養すること」という意味をもっています。生理的・物理的・精神的なストレスなどを予防する体内の力を高めて病気を防ぎ、防衛力をつけることをいいます。自然治癒力を高めるための健康法と考えてもよいでしょう。

増え続ける糖尿病患者と糖尿病予備軍

豊かさの代償が原因!?
糖尿病は、中高年の間で増えている慢性病で、こわい合併症をもっています。
厚生労働省は1997年、「糖尿病実態調査」の結果を発表し、「糖尿病が強く疑われる」人は約690万人、「糖尿病の可能性を否定できない」という人を含めると約1370万人となり、40歳以上の日本人の10人に1人以上が、糖尿病にかかっていると推定しています。食生活も豊かになり、食べたい物がいつでも手軽に手に入るようになり、一方では、交通網も整備されて歩くことも減ってきました。特に中高年では、若い頃と違ってエネルギーを消費する量が少なくなりました。
にもかかわらず、若い頃と同じように食べる人が多いのです。食べ物が豊かになった代わりに肥満の人も多くなり、糖尿病になる人や糖尿病予備軍が増えてしまったのです。

自己規制には強い意志が必要
この病気の油断できない点は、糖尿病の初期には症状がわかりにくく、気付かないうちに徐々にいろいろな合併症が出てくることです。
しかし、病気をよく理解して養生していれば、健康な人たちと変わることのない生活を送ることもできるのです。
とはいっても初期の頃は、痛くもかゆくもなく、日々の活動でも何ら支障がないため、食事を制限したり散歩を心がけるなどの自己規制を続けるには、かなりの強い意志が必要です。
糖尿病と診断されて養生をしていた人が、自己判断で途中で治療を中断する人が多いのも、症状がほとんどないからでしょう。
基本的な治療は、食事や運動療法ですが、毎日の生活のなかには、療養が乱されやすい誘惑が溢れているのが現実です。

正しい知識を認識して、生きがいのある「クオリティー・オブ・ライフ(QOL)」を

人それぞれ仕事の種類も違うし、人生観も違います。
適度な運動をしなければと、頭ではわかっていながらも、多忙な人が節制を実行するのは容易ではありません。好きな酒や菓子を我慢してまで生きるのはつまらない、食べたいだけ食べ、それで死ぬのなら本望だ、という人生観を強固に貫いている人も稀ではないのです。

それぞれが、かけがえのない人生であり、医療者(医師)が強制することはできませんが、人は誰しも自分の「人生の質=クオリティー・オブ・ライフ(QOL)」を高めていきたいと思っているのではないでしょうか。その人の人間性が失われない、生きがいのあるQOLを、誰もが望んでいるではないでしょうか。
それには、病気や療養について、正しい知識を認識することが大切なのです。

糖尿病のタイプ

糖尿病の分類は原因(成因)によって、いくつかのタイプに分類されます。
①1型糖尿病
②2型糖尿病
③その他の特定の機序、疾患によるもの
④妊娠糖尿病
以下、1型、2型糖尿病について説明します。

1型糖尿病
1型の糖尿病は、膵臓のインスリンを出す細胞(B細胞)が壊されて、インスリンを分泌することが不可能になってしまうタイプです。
このタイプの糖尿病は、インスリンが絶対的な欠乏状態になってしまうため、治療としては、インスリンの注射が不可欠です。インスリン依存型糖尿病の患者数は、日本の糖尿病患者の5%程度で、そう多くはありません。
発症には、免疫の異常やウイルスによる感染などが関与している、といわれています。突然に発症し、発病年齢も比較的若いこともあって、昔は若年型糖尿病ともいわれていました。肥満やストレスなどとの関係はなく、小児の糖尿病は大部分がこのタイプです。
治療は、基本的な食事や運動療法はもちろんですが、インスリンの注射は必須です。

2型糖尿病
インスリン非依存型糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの量が不足しているか、またはインスリンは普通に分泌されているのに、インスリンの血糖を下げる作用が弱まっているために発症する糖尿病です。
2型の糖尿病患者は、日本の糖尿病患者の約95%と推定されています。この型の糖尿病は、食事や運動療法のみでも治療が可能です。
両親や兄弟などに糖尿病の人がいることが多く、徐々に発病し、発病の年齢は1型糖尿病と異なり青年期以降に多いです。発病する前に、一時的でも肥っていた人が発症しやすいです。
治療は、食事や運動療法で減量することで改善する人が多く、インスリン注射や血糖を下げる薬は必ずしも必要ではありませんが、このタイプは徐々に病気が進行するために自覚症状も気付きにくく、発見が遅れがちで、気付いたときにはすでに眼底出血などの合併症があることも少なくありません。
また、治療が長期にわたると、食事療法を勝手な自己判断で中断して、不摂生を繰り返して症状が悪化する人も非常に多く、インスリン注射が必要になることもあります。
壮年期に発病して、はじめは食事療法や経口血糖降下剤で治療していた人が、老年期にはインスリン注射が必要になってくることもあります。その背景には、療養生活の中断があると考えられます。

糖尿病に特有な症状

典型的な症状は、食べてもやせる、喉が渇く、水を多く飲む(夜中に喉が渇き、トイレのたびに必ず水が欲しくなる)、尿がベトつく、性欲減退、インポテンツ、陰部のかゆみ(女性)、疲労感などがあります。こうなると、血糖値はかなり高いと考えてよいでしょう。
これらの症状を無視して生活を続け、視力の異常や意識がなくなって、はじめて糖尿病が発見される人もいますが、この病気に対してあまりにも認識不足です。
尿のなかに糖が出るとニオイが漂うので、水洗トイレの普及していなかった時代は、汲み取り屋さんに「糖尿病の人がいるのでは?」といわれ、病院に来る人が多かったようですが、今はなくなりました。また、女性が外陰部の掻痒感(そうようかん=かゆみ)から、婦人科の受診で見つかることもあります。
最近では、糖尿病への関心も高くなり、早期に発見されることも多くなっていますが、典型的な症状が出るまで放置している人は少なくないのが実情であり、残念です。
特に老年期では、症状がかなりすすんでいても自覚症状がほとんどないことが多いのです。
症状が出てきた場合にもいろいろな特徴があるので、ぜひ一度検査を受けることをお勤めします。

シックデイ(病気の時)に注意
糖尿病が軽い人でも注意すべき点は、風邪や下痢、嘔吐などで食事が摂れない状態になったときに、脱水や身体へのストレスなどで血糖が急に高くなり、意識を失うことです(昏睡)高血糖による昏睡には、「非ケトン性高浸透圧性糖尿病昏睡」と「ケトン性高血糖昏睡」があり、老年期に多くなるのは、シックデイなどで血糖が高くなって発症する「非ケトン性高浸透圧性糖尿病昏睡」です。一方、「ケトン性高血糖昏睡」は、年齢に関係なく発症します。ともに治療が難しく、処置が遅れると命にも影響するので気をつけてください。

予防法としては、糖尿病の人はもちろん、軽度の異常がある人でも水分や食事が十分に摂れなくなったら、早めのが肝心です。

「非ケトン性高浸透圧性糖尿病昏睡」
食欲不振をともなった脱水状態や、身体的なストレスなどによって引き起こされることが多いです。血糖値が極めて高いために、浸透圧が上昇して利尿が亢進(こうしん)して細胞内の脱水を起こし、昏睡に至ります。
糖尿病が軽症の場合、患者さん自身が糖尿病であることを忘れていることも多く、油断は大敵です。また、お年寄りで「寝たきり状態」の場合、多発性脳梗塞やパーキンソン病などによる嚥下(えんげ)障害(飲み込む力が落ちる)で慢性的に脱水状態になっている人も多く、感染症や下痢、嘔吐など、わずかな身体的変化がキッカケとなり、発症することがあります。
糖尿病には、軽い意識障害から昏睡に至るものまであり、最初の治療で運命が決まるといっても過言ではありません。意識障害や神経学的所見(診察したときのいろいろな体の状態)などが、脳血管障害と非常に似ているため誤診されやすいのです。
的確にスピーディに治療ができるように、本人のみならず、家族も多少の知識をもっていることが望ましいです。軽症でも糖尿病を患っていたら、意識がもうろうとした状態のときには、まず「非ケトン性高浸透圧性糖尿病昏睡」を疑い、早急に血糖値を調べてもらうことです。

症例 旅行中に体調を崩して3日後に昏睡状態、そして脳梗塞に

健康診断で「軽い糖尿病」といわれ、食事療法をしていた75歳の男性。旅行中に体調を崩し、すぐに帰宅しました。自宅で療養していましたが、発病しておかゆなどもほとんど食べられない状態になりました。話す言葉もはっきりしなくなり、意識がもうろうとしてきたため、緊急入院しました。
食べられなくなって3日目、入院したときの血糖値は800mg/dl以上で、間もなく昏睡状態に陥ったのです。
患者さんは、インスリン治療と点滴で昏睡状態は改善しましたが、今度は脳梗塞を起こしました。脱水状態になると血液の濃度は濃くなり、血液が固まりやすく、脳梗塞を誘発しやすいのです。
こわい昏睡にならないためにも、糖尿病の検査を早めに受けておくことが大切です。

「ケトン性高血糖昏睡」
「非ケトン性高浸透圧性糖尿病昏睡」は、老齢者に多いのですが、「ケトン性高血糖昏睡」は、年齢とは関係なく起こるのが特徴です。
インスリン作用の不足によって血液中のブドウ糖が利川できなくなると、代替エネルギー源として、体内の脂肪分などを利用する必要が起きてきます。そのときに血液中でのケトン体という物質が多くなり、昏睡に陥ってしまうのです(高ケトン血症)。ケトン体は、増えすぎると意識障害の原因となります。
ケトン性高血糖昏睡のきっかけはいろいろありますが、インスリン注射を中止するとか、肺炎や胃腸炎などの感染症を併発して食事が摂取できないなどが、誘因になることが多いです。
下痢や嘔吐が続くと、自己判断で突然インスリン注射を中止したりする人も少なくはありません。また、長期間にわたり食事制限やインスリンの注射をしている場合、抑うつ状態になっていることも多々あり、そのような状態のときに危険を承知のうえで意識的に中山Lする人もいます。
ケトン性高血糖昏睡は、インスリン注射の中庄によって起こることが多いので、インスリン注射をしている人は、勝手に判断して注射を中断しないことが大切です。

糖尿病ー理想の治療

クオリティー・オブ・ライフ(QOL=人生の質を高める)

糖尿病の医療現場に求められる「クオリティー・オブ・ライフ」
「クオリティー・オブ・ライフ」(以下、QOLとする)という言葉が、近年しばしば使われています。
「人生・生活の質を高める」という意味で、どのような病気の治療においても、「その人の人間らしさが失われず、生きがいのある生活が保証されるような医療」が望ましい、というような意味です。
あまりにも当然のことで、いまさら論じられるべきことではないかもしれませんが、特に慢性病の代表格である糖尿病では、日常の生活習慣の良否が病状を左右します。しかも、食事制限などの自己管理は個々の患者さんの人生観とも関連しているだけに、QOLの向上を常に配慮したかかわりが重要になってきます。
患者さんがひとりの人間として、あるいは社会の一員としての役割行動を取ることができ、さらに生きがいを感じられる、つまり自分にとって意味深い人生であり、自分らしさを意識できるところまで行きつくための助けが、本来の医療でしょう。
「QOLは主観的な側面と客観的な側面がある」と、砂原茂一氏(東京大学医学部卒。専門は呼吸器病学、リハビリテーション医学)は述べていますが、同感です。

糖尿病のゴール
最近では、健康診断などの普及で中高年から老年者の糖尿病が発見される機会も多くなり、食事制限や運動などの自己管理が必要となり、自由を束縛されてしまう人たちが増えています。
糖尿病治療のゴールは、特有な合併症を引き起こすこともなく、いかにして普通の人と変わらない人生を送ることができるように医療面から援助できるか、が基本です。
血糖値をできるだけ正常に近い状態に維持することは、年齢を問わず糖尿病の治療では極めて重要なのですが、長年にわたって「糖尿病人生」を送っている患者さんは、さまざまな身体的な異常をともなっているため、個々の人の病気の特徴を念頭におきながら、血糖のコントロールを考えていかねばなりません。
たとえば、血糖値のコントロールがいかにうまくいっても、骨がもろくなっている高齢者に厳格なコントロールをおこなって、患者さんが低血糖の発作で転び骨折しては本末転倒です。
また、高度の網膜症を併発している患者さんでは、低血糖が病状の悪化にもつながるので、注意しなければなりません。

生きざまや人生観を尊重する
人生観も無視できない要素です。
「食べたい物も食べられないなら、生きていてもつまらない」「人生も味気ない」、こうした人生観をもっている患者さんに、あれもこれもと食事制限を強制しても通用しません。ある程度の柔軟性が必要になってきます。特に若い頃から数十年の闘病生活をしている患者さんは、それなりの心構えや信念をもっているものです。
柔軟な対応とは、「先の短い高齢者だから何を食べてもよい」とか、「血糖値を無視していてもよい」というのではありません。高齢者にかぎらず、中高年の働き盛りの患者さんについても同様で、個々の生きざまや人生観も尊重するべきだと、私は考えています。
糖尿病は慢性病です。一生付き合っていかなければなりません。だからこそ、どのあたりで糖尿病の治療と、人生の接点を見出すかということが重要になってくるのです。
その意味で、QOLは、糖尿病治療では決して無視できないことなのです。

心の痛みへの理解が病状の改善に結びつく
可能なかぎり、「患者さんのQOLが損なわれない」ということを考えて、画一的でない多くのメニューを提示することが重要です。そのためにも、医療者たちは長続きする療養の工夫を、患者さんとともに考える余裕をもつことも重要なのです。
「血糖値が高すぎる、食事療法を守っていないだろう」「こんな状態では失明する」、こんな調子でいつも怒られ、脅されていたら、患者さんが病院から離れてしまうのもうなずけます。医療者が強者の立場で発言することは、容易なことです。しかし、病んでいる人間の心の痛みを理解することが、病状の改善に結びつくことが少なくない、と私は実感しています。
患者さんの自己管理がうまくいかないのは何か問題であるのか、という医師側の一歩引いたかかわりが重要で、病状を説明する際でも弱者の立場に立った表現もあるはずです。患者さんの生活スタイルをともに考え、アドバイスすることにより、解決できることも少なくありません。長年培った生活習慣の大幅な変更を要求することには、無理がともないますし、強引に医療のペースに引き込もうとしても、患者さんとのよい治療関係が成立するとは考えられません。
医療費は、「どこまでが許容できる範囲」で、「最低限ここまでは守ってほしい」、というような患者さんに対する寛容と、柔軟な対応が必要だと思います。自己規制を継続しなければ、病状の悪化を招くという不安におびえている患者さんの、心的な背景も忘れてはいけないと思います。
「医療が患者さんの人生にあまりに深入りすることは傲慢である」ことはわかっていても、いざとなるとなかなか難しいのです。

ライフスタイルの多様性

ライフスタイルの多様化と糖尿病
ある糖尿病の作家が、数年前の糖尿病学会で特別講演をしました。タイトルは、「すれすれ患者の生活習慣」で、糖尿病の養生には「よくない生活スタイルと、わかっちやいるのだが生活習慣がそうはさせてくれない。残りの人生を考えながら、強迫的に本を書いています。
朝まで書く、そして食べてすぐ寝る、という生活は変更できない」というような内容でした。
最近では、生活スタイルが多様化し、社会は24時間フルに稼動しています。
朝、決まった時間に出勤してほぼ同じ時間に帰宅し、食事の時間も一定している、という人はあまり多くはありません。昼間働いた後の残業、出張、接待、宴会と忙しく動きまわっています。夜中に働く人もいます。昼間と夜間を、交代で勤務している人もいます。
「健康な社会生活を送りたい」と望むなら、人それぞれが置かれている多様な生活スタイルのなかで、工夫しながら自己管理することが必要になってきます。これが、健康を取り戻すための努力の代償でしょう。
出張のときや夜遅くまで働かねばならない人は「夕食はどうするか」を工夫し、宴会の多い人はアルコールや食事の量を念頭において生きなければならないでしょう。うまく養生するためには、強固な意志と工夫が不可欠なのです。
このように、多様な時間を生きている人たちがたくさんいますが、糖尿病の治療は、ほとんど同じパターンなのです。どの患者さんも同じ枠に押し込め、節制をさせようとしています。
多様な生活スタイルの患者さんの糖尿病治療を、ここでは紹介しましょう。

■症例1 仕事が忙しい中年企業戦士
親子そろっての糖尿病、母親は10年以上もインスリンの自己注射をしています。
中年の息子は肥満気味で、糖尿病と診断されても、仕事が忙しいからと言い訳しながら、数年間放置していました。会議、出張で帰宅が遅くなることが多く、そのうえ部下の面倒もみなければといいながら、夜遅くまで宴席を付きあっています。彼には特有の自覚症状もありませんでしたが、親に付き添って来院したついでにと、検査を希望したのです。
検査結果では食後の血糖値は高く、すでに立派な糖尿病でした。母親の糖尿病を長年観察していたので、病気に対する知識はそれなりにもっており、「減量を心がけて、基本的な節制をすれば改善するでしょう」と説明しましたが、「仕事が忙しくて」「出ないわけにはいかない会食が多くて」「歓送迎会があるので出ないわけにはいかない」など、とにかく仕事を理由に、糖尿病の養生とはいい難い日々を送り続けていました。
言い訳があまりにも多く、「勝手にしてくれ」といいたくもなりましたが、「月に1回の検査だけには来るように」と話し、あとは本人の自覚を待とう、と私のほうも覚悟をしました。
このような生活スタイルの人に、中途半端に経口血糖降下薬を使うのは好ましくないと考え、持久戦の構えで対応しました(すぐに血糖値を下げないと危険という状態ではなかったので)。
彼は栄養指導も数回受けていましたが、馬耳東風で、まったく聞き入れませんでした。
ある日、「このままでは仕事もできなくなるかもしれない。10年後も健康でありたいと思うなら、インスリンの注射をしたほうがよい」と話しました。「インスリンは各食前に注射、1日3回が理想的」と説明すると、「とても会社では打てない。糖尿病であることを知られたくない」と本音を吐露したのです。
会社の上司や部下に、糖尿病で食事療法が必要であることなどとは、まったく話していなかったのでした。
しばらくしてから、血糖値はかなり下がりました。糖尿病である事実を、周囲に理解してもらったのでしょう。「宴会を減らし、寝酒もしなくなった」とポツリといいました。「やればできるじゃないですか」というと、そこには笑顔がありました。

症例2 交代勤務、食事はどうする
40歳前半の男性は、夜勤と日勤の交代勤務をしていました。38歳の頃、最高体重が76kg、BMI:28と、かなり肥っていました。体重が自然に減りはじめたため診察を
受け、「糖尿病」と診断されたのです。交代勤務のため、どうしても食生活は不規則になりがちで、外食や宴会も少なくなく、アルコールはビール、日本酒、焼酎など何でもいける口です。一人暮らしのため、コンビニの弁当を利用することも多く、夜勤が終わり帰宅後は、酒を飲みながら朝食を摂り、そのまま眠ってしまうパターンを繰り返していました。
数日に1回の夜勤があり、その勤務状態は午後4時過ぎから翌朝9時まで働き、途中で仮眠を取ることもできるとのことでした。日勤は、朝8時過ぎから午後5時まで、診察を受けるときは、夜勤が明けた朝食後に来るのです。
このような生活をしている現代人は、決して少なくないと思います。糖尿病の理想的な療養のパターンを作りあげるには、かなりの努力と工夫が必要だと思います。
まず、食事のパターンをどうするかです。日勤では問題は少ないのですが、夜勤をしているときは帰宅後、朝食を終えてからすぐに寝ないで、少し勤いてから休むことを勤めました。午後の食事は、出勤前にごく簡単にすましていたようですが、しっかり食べるように話しました。
仕事の途中で1回食事を摂っていますが、ほとんどが「ソバ」か「ウドン」とのことです。売店には弁当もあるというので、栄養バランスを考えると、油物の少ない弁当のほうがよいと勧めました。日勤では仲間との付きあいで、アルコールがどうしても多くなってしまうらしいのですが、「ほどほどに」と助言しています。
朝1錠の経口血糖降下剤と毎食前の食後過血糖改善剤(aグルコシダーゼ阻害剤=ボグリボース)を服用し、現在はほぼ良好なコントロール状態を保っています。
こうした生活を続けて働いている彼に、「あれはダメ、これもダメ」ということは、彼の生活、生き甲斐を奪ってしまう可能性が高いと考えています。軌道修正が効く範囲での多少の脱線はよしとして、見守っていく姿勢が大切だと考えています。

■症例3 月5回の夜間勤務をこなす30代半ばの男性
30歳半ばの独身男性は、急にやせてきたというので検査に来ました。やせた理由は、忙しいのと不規則な生活のせいだと、勝手に自己判断していました。
父親が糖尿病であったため、多少は気になっていたらしいのですが、「まさか自分が糖尿病になる」とは予想もしていなかったようです。
自覚症状は「喉の渇き」で、かなり水分を飲んでも渇きは癒されないし、体重も減ってきたため、検査を勧められ来院しました。結果は、見事な糖尿病でした。
「喉の渇き」のために、清涼飲料水をペットボトルで毎日飲んでいたといいます。しかも独身のため、ほとんど食事は外食で、糖質が多くなっていました。
治療を開始しましたが、急に食事内容の変更は難しいと判断し、まずは飲み物は「水か茶」以外はダメ、食事は弁当などのバランスのよいものを食べるようにと指示しました。清涼飲料水を止めただけで、喉の渇きは少なくなり、だるさもなくなりました。
しばらくして、これからの食事をどうするか一緒に考えようと、話しました。「まだ若い、これから30年や40年後を考えて、糖尿病とうまく生きるための工夫をしましょう」と提案すると、彼は父親の糖尿病のことを見ていたので、ぜひがんばりたいと答えました。真面目な青年なのです。
彼は、月に5回前後の夜間勤務があります。勤務の後は、帰って寝るだけです。翌日は休日で、その翌日からは昼間の勤務になります。昼間なら昼間、夜間なら夜間だけという勤務スタイルならば、ひとつのパターンをつくるのは難しいことではありませんが、昼と夜のまるで違う生活が不規則に繰り返されるから、工夫が必要になってくるのです。
食事をどうするか、特に夜間勤務の後が難問です。夕方、職場に入り、夕食は職場から出されますが、夜食は個々に摂っています。朝食は簡素なパンなどが少々で、糖質が主体です。
「夜食は何を食べるか」や「帰宅後の食事はどうするか」が、難しい問題です。夜勤は腹も減るので、同僚と同じようにたっぷり腹ごしら
えしたいところですが、抑えねばなりません。
帰宅後はすきっ腹で、食べたいし、そして眠い。
しかし、ここでたらふく食べて、すぐ眠ってしまうのがいけないのです。
時間をかけてうまく養生しながら、生活するヒントをともに考えるのが医療者の役目であり、ここでの方向が、つまり初期の治療が将来を決めてしまうのです。

症例4 屋台でラーメン作り、糖尿病と生きる
50歳代半ばで糖尿病と診断された男性。「喉が渇く(夜中にやたらに喉が渇く)」「食べていてもやせた(以前は76kgと肥満気味だった)」
「だるい」などの症状で、近くの総合病院に行き検査を受けました。検査の後、すぐに経口血糖降下剤を飲むようになり、食事にも注意していましたが、「1年ももたなかった」といいます。
その後は治療も中断し、食生活もいい加減になってしまったようで、診断されてから3年後、調子が悪いといって私のところに来院しました。
当時の体重は74kg、グリコヘモグロビン(HbAlc)は9・6%。脱サラして屋台のラーメン屋を営み、仕事が夜間のため、昼間に病院へ来るのは大変なのだといいます。夕方6時頃に食事をし、8時半から朝の5時頃まで働く。
帰宅後、7時頃にご飯、副食を食べて、すぐに寝ます。午後の3時前後には起きて、仕事の準備にかかります。仕事がはじまればゆっくり食べる暇もないので、夜の10時頃に果物などで腹ごしらえをするだけ、とのこと。暑い晩は、清涼飲料水を飲んだりしていたといいます。
3回ばかり来院したので、食事の問題点や食べ方などを一緒に考えました。仕事のことが気にかかり、病状については意識するものの、病院へはなかなか足が向いてこないようです。空いた時間を見つけて、薬だけは飲んでいました。
3ヵ月後に検査に来たときには、食生活のパターンは多少改善していて、「夜食は8枚切りのパンを1枚か2枚とサラダ、夜中に腹がへったらキャベツをかじって我慢している」といいます。これに対して、「パンのときには、卵でもつけたらどうか」とアドバイスをしました。
こうしたやりとりを月に1回していますが、彼も「がんぱれば、何とかできる」という自信のようなものが出てきたようです。

■症例5 毎日が日曜日の人
時間に追われる人がいる一方で、退職して悠々自適の人生を送っている人は、時間に制約されることかありません。彼らは、晴耕雨読も終日テレビ鑑賞も、ウトウトごろ寝も、チビチビ酒も、そしてせんべいをポリポリすることもできる人たちです。計画すれば、有意義な時間をもつことができるし、何でもできるのです。
よくある話ですが、「退職したら散歩やスポーツなどをする余裕ができるから、血糖値も下がると思う」という人がいます。しかし、こう話す人で、血糖値が下がったという例は決して多くはありません。彼らに共通しているのは、「言い訳」が多すぎることです。散歩しない理由では、「寒いから」「暑すぎるから」「雨だか
ら」「風が強かったから」「腰が痛いから」。なかには、「用事もないのに歩くのは格好悪い」などという人もいます。
一方、強固に人生を計画して養生している人も少なくないのです。

模範的な患者さん

長期間の自己管理のヒント
長期間にわたって血糖値を良好にコントロールし続けることは極めて難しいことです。医療側の柔軟な対応と、患者側の意識の双方がうまくかみ合わないと、ほとんど失敗します。糖尿病治療の中断や放散、自暴自棄的な生活や抑うつ状態に陥る人の何と多いことでしょうか。
しかし、よい状態で、長期にわたる自己管理をしている人も少なからずいます。このような人から自己管理のヒントを学ぶことは、重要なことです。
多くの糖尿病患者さんについて、同一の医療機関での長期間にわたる血糖のコントロール状態と糖尿病の合併症との関係を調べた研究は、ほとんどありません。その理由のひとつに、治療の中断や脱落(病院に来なくなる)などを余儀なくされる人が多いことが考えられます。
ひとつの医療機関で同じ医師が長期にわたって患者さんを観察することや、患者さんが自己管理を継続することはとても難しいのです。その要因は、医療側と患者側双方のいろいろな条件がうまくかみ合わないことと、多くの患者さんについての調査をするのが不可能だからと考えられます。45歳で糖尿病と診断されてから30年、現在75
歳の男性で、教職についていた患者さんがいます。治療を中断することもなく、定期的に血糖や合併症(眼底など)の検査を受けています。
この精神力はとこにあるのでしょうか。その軌跡をたどりながら、養生の参考になればと思い、ここに紹介しましょう。

症例 余裕の精神が長期療養成功の秘訣
私がこの患者さん(A氏)とかかわってから、28年を経過しました。糖尿病と診断された当時の体重は60kg、身長160cmで、BMIは23でした。
はじめて食事指導を受けたときは「食べたい物も食べられなくなる、むなしいと思っていましたが、しばらくして食事療法にも慣れ、全体の量は制限されてはいますが、いろいろな物が食べられることもわかりました」と、語ってくれました。食事療法は守っていましたが、仕事上での付きあいの宴席が多く、アルコールの問題がいつも付きまとっていました。
真面目で几帳面な人物で、仕事は教職。結構ストレスもあったと推測されますが、宴席でも食事やアルコールにはかなり注意をしていたようで、大幅な生活リズムの乱れはありませんでした。
ところが2年前の73歳のとき、急に手足のしびれ感があり、近くの救急病院を受診して「脳梗塞の疑い」で入院しました。後遺症もなく、数日で退院しました。その後来院しましたが、明らかな麻疹などの症状もなく、脳のCTやMRI検査でも異常所見は認められず、間もなくしびれ感もなくなりました。糖尿病の合併症については、眼底も正常、尿蛋白陰性(にょうたんぱくいんせい)、足の神経障害もなく、心電図でも虚血性変化(狭心症など)は認められず、現在、規則正しい生活の日々を送っています。
療養生活について尋ねてみると、気負いもなく自然体です。本人に、特別な養生をしているという意識もなく、食事制限が強迫的になっている様子もありません。
現在に至るまでの養生について聞いてみると、糖尿病と診断されて食事療法を覚えてから今日まで、宴席を除けばパターンはほとんど同じだといいます。
ご飯の量は150g、はかりにのせなくても目分量でだいたいわかりますが、毎日ちゃんと正確に計っているようです。毎朝牛乳180cc、タンパク質は5単位(1単位が80キロカロリ一5単位で400キロカロリー)を目安として、毎日食べるように心がけているといいます。
野菜は毎食100g以上、果物は季節によって変わりますが、?単位で抑えるように心がけ、毎日食べます。脂肪分については「よくわからない」が、できるだけ多く取り過ぎないように注意しています、といいます。
常に、栄養のバランスを考えて、食生活を組み立てています。間食はまったくしないとのこと。定年以後はアルコールを時どき、少々飲んでいますが、1日、1600キロカロリーを目標にしているといいます。
運動は、現役時代は職場でできるだけ歩くように心がけ、食事は、給食を生徒と一緒に食べていたといいます。定年退職後、散歩は朝と夕の2回、それぞれ約30分、1日で5キロ前後は歩くように心がけきますが、大雨や風の強い日などは家のなかで動くようにしています。さらに、自宅の畑での野良仕事や庭の草取りなどにも精を出していま
す。
A氏は、糖尿病の状態を知るために、月に一度の血糖値検査と定期的な眼底検査は「体んだことはない」し、体重は50kg前後でほぼ一定しています。
薬は、68歳のときから毎食の直前に過血糖改善剤のボグリボースを1錠ずつ飲みはじめ、70歳からは血糖降下剤(グリベンクラミド、あるいはトルブタミド)を少量服用しています。
合併症については、眼底所見一正常、尿蛋白、神経障害、心電図一正常範囲です。

長期療養成功の秘訣は「精神の余裕」
A氏は、以上のような厳格な日常生活を送っていますが、本人は苦痛な様子でもなく、結構楽しんでいるようにも感じられます。最高の生活習慣を会得しているのでしょう。
どうして、このような生活リズムが身についたのでしょうか。さらに、治療を継続していく精神力は、いったいどこにあるのでしょうか。現在までの軌跡をたどりながら、私なりに推理してみました。
治療といえば、診断された当時の約1年間は経口血糖降下剤を飲んでいましたが、その後60歳代後半までは、ほとんどが食事療法と適度の運動のみです。定期的に薬の服用を開始したのは、68歳からでした。
病気に対する認識は、基本的な食事療法と適度な運動が不可欠であることを熟知し、守っていました。性格は、几帳面で真面目、かといってあまりにも完璧を求め過ぎるようなこともなく、「ほどほど加減」が療養の継続にはプラスに作用していたようでした。
完璧を求めず大幅な脱線をしない、常に軌道修正ができる範囲に身をおいて外れなかったことが、長期療養の秘訣でしょう。
合併症のこわさばかりが頭から離れないようでは、不安やあせり、ストレス過多となり、その結果、ストレスホルモンの分泌が多くなり、血糖の不安定さにもつながっていきます。抑うつ状態に陥ってしまうことも少なくありません。
「ほどほどに養生する」「まあいいか」、というような余裕の精神が、長期療養を成功させる秘訣のようです。さらに、家族の協力や職場環境も重要な要素となります。
現代では多忙な日々、不規則な食事が避けられない職場環境にいる人が少なくありません。病気を正しく認識し、うまく適応するための工夫をすれば、「ほどほどに養生する生活」は決して不可能なことではありません。言い訳ばかりいう患者さんは、すでに病気に負けてしまっていることになるのです。
患者さんと医療者との関係も、重要な要素だ。医師の画一的な対応では、長期療養を支援することはできません。患者さんの個々の生活スタイル、性格や家庭環境などは、千差万別であることを理解した柔軟な対応が必要です。さらに、血糖の検査は「空腹時でなければダメ」というばかりでは、あまり好ましい対応ではないと思います。

現実は「脅しの医療」

医者の仕事は「脅し」?
糖尿病は放置しておくことも、治療の中断も許されません。いつも病気を意識しながら、社会生活を送り、うまく養生を続けなければなりません。
人それぞれ多様な生活スタイルがあり、養生によいからといっても、生活のリズムを変更することはなかなか容易ではありません。
養生法を説く医療者は、「あれも食べてはいけない、これも食べてはいけない」「酒も絶対に飲むな」「毎日運動しなければいけない」、挙げ句の果てに「そんな生活をしていたら合併症がこわいぞ」と、いとも簡単に同じことを繰り返します。
そして、「失明するぞ」「壊疽(えそ)で足を切らなければならなくなるぞ」「腎臓が悪くなり人工透析をしなければならなくなるぞ」という、「脅しの医療」が多い気がします。
これでは、診察のたぴに患者さんは憂鬱(ゆううつ)な気分に襲われるのではないでしょうか。医療者の役割は、患者さんが健康人が送っているような生活を営むことができるように、うまく舵を取ってあげることです。

平常心で病と共存する
糖尿病は、感染症とはまったく違います。特効薬(抗生物質)で完治できるような、戦略をもっていません。日常生活などにも気配りしながら、療養指導をする幅広い視点が不可欠なのです。どうしたら、平常心で病と共生しながら社会生活が送れるか、医療者はともに考えるべきなのです。
生活のいろいろな規制に、何年も耐えなければならないと真剣に考え続けていたら、多くの人たちはいつか落ち込んでしまうでしょう。長期にわたり薬を規則正しく飲み続け、食事を制限し生活を規制していくことは、医療者がどんなにヤキモキしても、患者さん自身がその気にならなければどうにもならないのです。
病状の経過がうまくいかなければ、いらだってストレスがたまり、民間療法に代表されるいろいろな情報に惑わされ、非科学的な治療を求めさまようようにもなりかねません。
糖尿病では、医療者と患者さんのパートナーシップがしっかり結ばれることが重要で、ひとりひとりの人間にとっては1回きりの人生である、という基本的な認識が医療者には不可欠なのです。

テイラーメイドの医療

テイラーメイドの医療とは
「テイラーメイドの医療」とは、「仕立屋さんの医療」という意味で、仕立服のようにひとりひとりにあった医療を意味します。
ひとりひとりの患者さんが違うように、治療法もひとりひとり違って当然で、その治療法こそが、慢性病である糖尿病に対して不可欠な視点ではないかと考え、私は数年前から「テイラーメイドの医療」を提唱しています。
糖尿病の治療には、患者さんひとりひとりの日常生活の様子を含め、特徴を熟知していなければ不可能な側面が多いのです。患者さんはどのような仕事をしているのか、何時から何時まで働いているのか、体は動かしているのか、宴会などの会合や外食が多いのか、海外などへの出張が多いのか、ストレスはどうかなど、その内容は実に多岐にわたります。
患者さんの性格もいろいろです。几帳面で完璧主義、いい加減、楽天家、無頓着や神経質、さらにはその程度にもランクがあります。
生活環境も重要な要因で、家族と一緒の食事をしている人と、ひとり暮らしの人とでは、食生活にも雲泥の差があります。食習慣の面でも、酒飲み、甘い物には眼がない甘党、果物好き、めん類が欠かせないなどがあります。
糖尿病にはよくない習慣だから改めなさいと説いたところで、長年培ってきた食習慣を急に変更することなどは不可能に近いのです。

「テイラーメイドの医療」には柔軟で強固な姿勢が必要
「テイラーメイドの医療」とは、糖尿病治療では極めて重要な視点ですが、実行するにはかなりのエネルギーが必要です。
個々の患者さんの生活スタイルなどを考慮したうえで、それぞれにあわせた医療のメニュー(仕立服)を示しながら指導します。画一的ではない、柔軟な人間味に溢れた医療をめざすには、柔軟で強固な姿勢が必要なのです。
現在の治療は、患者さんの生活スタイルなどは考慮しない「制服を支給する(糖尿病治療の基本原則を示す)」治療です。しかも、どれもが同じ大きさの服(治療方針が画一的)です。
支給された服が大きすぎる人、小さすぎる人、ぴったりの人、さまざまです(生活スタイルがいろいろだから)。しかし、医療者は「制服の大きさに体をあわせなさい」と、無理難題を要求しています。
着せる側の医療者に求められることは、支給された服をうまく体にあうようにするにはどうしたらよいのか、その人に似合うように修復したりする対応です。着る側の患者さんも、上手に着るための努力をする必要があります。お互いにいろいろな情報を共有しながら(患者さんは生活の中身を話したりする)、魅力ある服を作りあげていくことが大切です。支給された服が、きつ過ぎたり、ブカブカだったら、着心地がよくないのは当然です。にもかかわらず、うまく着られない人はダメな人と切り捨てられては、患者さんはたまったものではないでしょう。

心温かい柔軟性のある医療を
几帳面で完璧主義の人には、あまり無理しないように適度な息抜きをするようにさとし、楽天家で無頓着な人には、あまり甘く考えすぎないように、と説明します。
病気や将来の合併症に不安を抱きやすい人には、ゆったりと構えるような安心感を与えることも必要になってきます。
生活する時間帯が仕事などで不規則な人には、どのようにするべきかを一緒に考えてみることが必要です。
患者さんの性格は千差万別、そして生活する時間や仕事の内容も多岐にわたっています。
「テイラーメイドの医療」というのは、画一的でない、脅迫的でない、心温かい柔軟性のある医療なのです。既製の服に体があわせられない患者さんに、脱落者のレッテルを貼るような医療とは別物なのです。
糖尿病の治療は、一生の問題であるにもかかわらず、患者さんひとりひとりに対する心理的なかかわりが、今の治療ではほとんど組み込まれていないように感じます。あるのは、「こわさ」が過度に強調されている医療だけではないでしょうか。

食事療法は予防医学ー難しい食事療法の継続

食事療法は予防医学
糖尿病にかぎらず、生活習慣病は毎日の生活習慣、特に食習慣と密接に関係しています。
肥満や心臓病、高血圧症など、食事制限の必要性を知っていても、実際に食事の制限を守ることは容易ではありません。食べることは、人生の楽しみのひとつでもあります。まして、症状もない糖尿病や肥満のために食事療法をするには、かなりの決断と強固な意志の継続が必要になります。
動脈硬化が原因で発症する狭心症、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血、動脈硬化性認知症などは、生活習慣と密接な関係があり、そのため「生活習慣病」と呼ばれていることはよく知られています。悪い生活習慣が多ければ多いほど、それらの症状が発症する「危険因子」が多くなります。
肥満を解消することで、糖尿病が改善されることからも、食習慣を改めることは、健康長寿と深い関わりがあることがわかります。
食事療法は、危険因子を減らすための方法であり、病気を予防する予防医学なのです。食事や栄養について正しい知識をもつことは、健康を維持するために欠かすことができません。

軌道修正の難しさ

糖尿病と付きあいながら生きているかぎり、理由はともあれ、逃れることは負けです。肝心なのは、基本の食事療法から脱線しても、ほどほどに食い止められる程度が限界で、大幅に脱線した人の軌道修正は難しいのです。
重大な転機を数回も経験していながら、うまく軌道修正しながら健やかに生活している患者さんもいます。長期間の療養では、血糖値が良くなったり悪くなったりを繰り返すことはやむを得ませんが、いかにうまく軌道修正を繰り返すかが重要なのです。
ここで、典型的な糖尿病人生を送った患者さんを紹介しましょう。長く病んだ人の軌跡を知ってもらうことで、今後の治療に役立てていただきたいと願っています。

食事療法に失敗した患者さん2人
■症例 病気を治すのは患者さん自身
最初に紹介するのは、病気を無視して目がかすみ、あわてて来院した65歳の女性、Bさんの悲劇です。
Bさんは、49歳頃に「尿に糖が出る」と診断されました。当時の体重は、78?80kgでした。
ちなみに、20歳代の体重は45kgとスリムだったといいます。数年間は治療を続けていましたが、間もなく中止してしまいます。理由は、「痛くもかゆくもない」からで、もちろん食事制限は守られていませんでした。
治療を中断して数年が経った頃から、「喉の渇き」が強くなり、夜中に起きて水を飲むなどの症状が現れました。食事の制限もしていないのに、体重は10kg近く減ってしまい、そのうちに、眼がかすみはじめました。眼科医から「糖尿病による眼底出血」と診断され、あわてて内科治療を再開しました。すでに遅過ぎましたが、それでも依然として、食事制限は守れない状態だったようです。
Bさんは、65歳のときに来院しました。合併症は眼だけではなく、腎臓や神経の障害もかなりすすんでいて、さらに狭心症の発作を繰り返していました。
「自業自得」といえばそれまでですが、現実にはこのような患者さんは非常に多いのです。

症例 治療に対する認識の低さ
次の患者Cさんは、76歳の小柄な女性です。
56歳で糖尿病と診断され、その直後から経口血糖降下剤を飲みはじめたといいます。
Cさんが40歳代の体重は、最高が68kgでかなりの肥満でした。薬(経口血糖降下剤)は飲んでいましたが、食事の制限はほとんどしていない状態でした。しかも、診察も受けないで、薬だけ飲んでいたという認識のなさでした。
処方していた医師にも問題があったかもしれませんが、病気を治すのは患者さん自身であって、医療者は情報の提供者にすぎないのです。
Cさんが病院へ来たときには、すでに合併症はもちろん、心電図では古い心筋梗塞の所見がありました。食事制限もほとんど守られていない状態で、残念ながら、2年後に心筋梗塞の再発作で亡くなってしまいました。
先に紹介した2人の患者さんは、糖尿病人生としては失敗したタイプですが、一方では、それなりに療養をしながら、合併症も少ない幸運な患者さんもいます。
大幅な食生活の乱れがなかったことが、要因と考えられます。

■症例 基本を忘れず、挫折せず、中断もなし
まずはじめに紹介するのは91歳の男性、Dさんです。60歳で定年退職しました。当時の体重は75kg、身長は160cmというから、かなり肥り気味でした。酒も飲み、タバコは日に40本も吸いながら、働き蜂のサラリーマン生活をしていた、と昔を振り返っていました。
定年の時点で、はじめて「糖尿病」と診断された彼は、そのときに「体重を減らしなさい、このままでは長生きは望めませんよ」と、医師にいわれたといいます。「健康で長生きを望むならば、先生のいわれたことを守ってみよう」と決心。主治医から、「食事療法についての細かい説明はなかった」にもかかわらず、本を参考にしながら、ただちに食事制限を実行したのです。
ご飯とパンを減らして野菜を増やし、これで満腹感を克服したといいますが、「大変だった」と当時のことを語っていました。運動もはじめそれまで少しかじったことのあるゴルフに熱中したそうです。
前述の治療に失敗した2人とは、心構えが違っています。
時間はありあまっているし、「毎日ゴルフ練習場に通い」、体重は約10カ月で65kgに減少しました。余談ですが、ゴルフは65歳でシングル(本人いわく)となったそうです。糖尿病歴が30年の強者は、やはりどこかが違うようです。
私の病院に来たのは80歳のときでしたが、午前7時からゴルフ練習場に週2回通い、毎日150球を打ち込み、2ヵ月に1回はコースに出ると豪語していました。80歳代後半の人にとっては、ものすごい運動の量です。
さらに、毎日4kmの散歩も欠かさないといいます。まさに、「怪物」です。
初診のときの血糖値はかなり高く、経口血糖降下剤の量も多かったのですが、それなりに食事療法は守っていますとのことでした。本人の病の認識度も無視できないかもしれません。
健康の秘訣は?と尋ねると、「早寝早起きで、起きたらまず、今日は何をするか考えること。趣味は植木いじりです」と即座に答えました。
どうしたら散歩も長続きするかなど、健康や糖尿病療養のための7ヵ条も話してくれました。
食事制限をしているとはいうものの、血糖値から推測すると、とても十分守られているとは考えられません。何度か栄養指導を繰り返して、徐々に薬の量も減らしていきました。
食事については誤解も多く、本人の付きあいのうえでの外食などで問題点も多かったのですが、不思議なことに合併症はほとんどありませんでした。
30年という糖尿病歴、そして高血糖からはとても信じられない健康な身体です。それなりの軌道修正をしていたのであろうと、考えるしかありません。基本を忘れずに、挫折することもなく、治療の中断もなかったことがよかったのだと考えられます。
Dさんが90歳のとき、散歩中に青年の運転する自転車にひっかけられ、膝を痛め、それ以後、杖が必要となって、ゴルフの練習もできなくなってしまいましたが、散歩だけは日課として続けています。持ち前の明るさも変わりはありません。

■症例 散歩を続けながら健康な日々を送る
96歳の女性Eさん、この患者さんも「怪物」です。
71歳のとき、関西の大学病院で糖尿病と診断されましたが、2年後に上京して、73歳で老人施設に入所。血糖値のコントロールのために、短期の入院を10回以上繰り返しながら、外来のときには定期的な血糖値のチェックも受けていました。
施設という生活環境が一定していたとはいえ、外出も自由で、ほどほどに好物を買い込んでの間食は日常的でした。私と出会ってから、すでに23年を経過していますが、散歩も続けながら健康な日々を送っています。重大な合併症もないのだから、不思議です。

食事療法を守りにくい原因は何か

医療者にも責任がある食事療法の挫折
患者さんは病気を克服するために、食事療法についてさまざまな工夫をこらしていますが、最初から病気に負けてしまう患者さんも少なくありません。これが人生なのかも知れませんが、食事制限が守れるか否かで、その療法の善し悪しによる効果の差には著しいものがあります。
食事療法が続かない要因はいろいろですが、医療者に問題があることも少なくないようです。
よく聞く話は、あれもダメこれもダメ、これはいいがあれはダメ、などの画一的な指導の方法です。薬の知識は豊富であっても、栄養についてはまったくの無関心か、あるいは知らない医療者も少なくないようです。「肉類はダメ」「野菜を多く取れ」などの注意は受けたが、漠然としてよくわからない、などの不満をもらす患者さんもいます。
こうした背景には、糖尿病の栄養指導が全国的に広がりはじめるまでの歴史や、治療医学面での栄養についての関心の遅れにも問題があったと考えられます。
これでは味もそっけもないし、人それぞれの嗜好を無視しているため、長く続かないのも当然でしょう。わかりやすく、好みにあわせた柔軟性のある食事指導が必要になるのです。
患者さんが、「ともあれ生きている」「社会人としての生活がある」ことを忘れた一方的な押しつけの指導では、治療の継続は困難です。柔軟性をもたせた食事制限を指導しながらも、脱線にも限度があることを同時に話しておけば、その先は患者さんが決めることなのです。

薬さえ飲んでいれば、病気は治る?
医療者の問題としては、病気の説明が不十分なうえに、すぐに経口血糖降下剤を使う点です。
患者さんは薬を飲んでさえいれば、病気は治る、と信じきっているケースが多いのです。
次に、ある診療所から紹介された患者さんの話を紹介します。
毎日、薬(経口血糖降下剤)は飲んでいたが、「こんなに小さい薬ですよ。まるで米粒みたいな」と、指で表現します。少量の薬だから、糖尿病はとるに足らない病気と思い込んでいたのです。「飲んでいれば安心」「小さい錠剤だから弱い薬だ」など、とんでもない誤解をしていたのです。
笑うに笑えない話ですが、こうした例は決して少なくありません。特に症状のない患者さんには、こういう傾向が強いのです。

食事療法の言い訳
食事療法では、とかく患者さんの「言い訳」が多すぎます。ちょっと浮かんだだけでも多彩な「言い訳」が多く、こっけいです。
いくつか紹介しましょう。

医師:「最近、血糖が安定しませんね」、「血糖値も高くなり、体重も増えましたね」
患者:「結婚式が続いたので」「外食が多かったから」「旅行したから」「送別会が多かった」
など、周りの状況が悪かったのであって、自分は悪くないと強調するタイプが多いのです。なかには、「最初から制限していません」と開き直る患者さんもいます。しかし、「会社が忙しいし、時間も不規則だから」とか、「退職したら規則的な生活でがんばることもできます」と「言い訳」もします。いざそうなれば、つい菓子を食べてしまうのでが。

環境が整っている人ほど「言い訳」が多い
患者さんは病気のこわさを熟知し、治療の基本も身につけているのに、このようなな具合ですから、如何(いかん)ともしがたいのです。家庭の状況などによって、食事療法を継続するのが難しい患者さんよりも、むしろ環境的にも十分に対処できるはずの患者さんに「言い訳」の多いのが目立ちます。旅行、冠婚葬祭、会食など、食事療法をほどほどに継続することが重要なのです。治療の環境は、必ずしも完璧でないのが普通なのです。そのなかで、どのような対処していくかは、患者さん白身が決めるしかありません。多くの患者さんの「自覚症状の欠如」も原因かもしれませんが、人生観や気質も無視できない大きな要因かもしれません。しかし、自覚症状が出てからでは、もう遅いのです。

周囲の支援は欠かせない

長期間の養生には、家族などの周囲の支援は欠かせないものです。
努力している患者さんの前に、食後のデザートなどといいながら、ケーキや果物を食卓に並べるのは考えものです。どんな強固な意志も、誘惑には勝てません。
どうにも変えようがないのは、性格です。
几帳面で完璧主義の人ほど、挫折や中断が多いことは、多くの患者さん自らが教えてくれています。治療の基本を忘れず、バランスを考えて柔軟性をもたないと継続しがたいのですが、なかなか簡単に割り切れないのが几帳面人間の性格です。
こんなときに、周りのサポートは大切です。挫折や中断がないよう理解し、寄り添って歩む姿勢が大切なのです。

ゴールをめざして
糖尿病のゴールとは、多少の制限はあるものの、普通に生活できる人生を送れること、と考えればよいのです。QOLもよくなければなりません。

食物繊維の効用

食物繊維は「第6の栄養素」
一昔前までは栄養素としての効能が認められず、無用のものと考えられていた食物繊維は、今や生活習慣病の予防や治療に有効であるとして、第6の栄養素とも呼ばれています。
日本人は、昔から食物繊維を摂取する食生活を営んできました。主食として、穀類やイモ類を取り、野菜やきのこ類、海藻類を多食する食生活が、ペースにありました。
しかし、食生活の欧米化により、動物性タンパク質を主とする高タンパクな食生活が主流となり、結果、多くの日本人は食物繊維が不足し、肥満や便秘になりがちとなり、高コレステロールや高血圧などの生活習慣病の発症を増加させていると考えられています。

食後の血糖値上昇を抑制する
食物繊維の働き
食物繊維は、植物の細胞膜を構成している物質で、人間のもっている消化酵素では、消化・吸収することができないものです。
食べた物の胃や腸を通過する時間を短くし、排便の量を多くし、エネルギー吸収を少なくさせる作用があります。食物繊維は肥満を予防し、食後の血糖値上昇を抑制する働きをもっているため、糖尿病の治療にも大切な役割を担う物質です。
糖尿病は生活習慣病であり、食を中心とする生活習慣が大きく関与しています。バランスのよい食事をすることが大切であり、ただ漫然と食物繊維だけを取ればよいというものではありません。
飲み物に、食物繊維を含んだものもありまが、これらは一般にブドウ糖を多く含んでいて、多飲は危険です。あくまでも食品からきちんと取ること、これが病気の予防につながり、健康の秘訣となります。

食物繊維の効能
食物繊維の効用を箇条書きにしてみよう。
①肥満の予防一カロリーが低く、よく噛んで食べるため、食べ過ぎを防ぐことができる。
②便秘の予防一消化・吸収されず、腸内の老廃物を絡め取って体外に排泄する働きがある。
③高コレステロール血症の予防一コレステロールを絡め取る働きがある。
④大腸がんの予防になる。
⑤高血圧症の予防になる。
⑥血糖値を低下させる作用がある。

食物センイが多い食品
穀類
比較的多い:玄米、ふすま、黒パン、小麦胚芽、米ぬかなど。
少ない:精白米、白パン、そうめん、スパゲッティ、もちなど。
いも類・大豆製品
穀類よりも全般的に多く含んでいる。さつまいもより、さといものほうが
やや多い。
大豆製品(納豆、おから、えだ豆)そら豆などは、いも類よりさらに
多い。
野菜類
種類によって非常に差かある。
多い: ごぼう、かぼちゃ、ぜんまい、パセリ、ふきの葉、プロッコリ
ー、みつば、せり、もやしなどで、さらに多いのは、かんぴょう、切
り干し大根、ゆり根など。
意外に少ない: きゅうり、大根(葉や切り干し大根は多い)、ふき(葉は
多い)、レタス、れんこん、たまねぎ、トマト、白菜(塩づけ)など。
果実
種類によって差が大きく、食べすぎは肥満にもつなかるので注意。
多い:柿、西洋なし、もも、りんごなど。
意外に少ない: グレープフルーツ、すいか、サクランボ、なし、パイナ
ップル、ぶどう、マスクメロン、みかんなど。
海藻類
すべてに非常に多く含まれるが、なかでも、ひじきやてんぐさには多
い。
きのこ類
ほとんどの物に多く含まれるが、とくに干し椎茸は他のきのこと比較して
10倍以上。

長続きする糖尿病の食事

血糖値をコントロールする食事療法

糖尿病によい食事として、食物繊維をきちんと摂ることと同様に、常に気をつけておきたい
ことは、バランスのよい食生活を営むことです。
エネルギー計算もよいですが、いかに食品を上手に食べあわせ、バランスのよい食事を摂ることができるか、が大切です。
食事療法は、長続きしてはじめて効いてきます。血糖値をコントロールする食事療法のポイントを、以下で紹介しましょう。
①食べ過ぎに注意する。
1日3食を、均等に取る。朝食抜きと夕食の食べ過ぎに注意。
②油を使った料理は1日2品まで。
脂肪の多い料理のときは、脂肪の低い料理を組み合わせる。
③良質なタンパク質は1食1品を目安に。
④野菜は毎食150gを目安に取る。
⑤海藻、きのこは1日1品を必ず取る。
⑥間食は、食事と食事の間を3時間以上開けて、昼間に取る。
⑦アルコール飲料は、必ず休肝日を設けること。
肴(さかな)の食べ過ぎに注意。

グリセミック・インデックス(GI)と食事療法

グリセミック・インデックス(GI)という食事法
食事療法についての考え方は、実は日本と欧米ではかなり違っています。
日本は、エネルギーを中心に考えますが、欧米は、糖質を計算して、それらを取り過ぎないようにするグリセミック・インデックス(以下、GIといいます)という概念が取り入れられています。
GIは、1982年にカナダの研究者たちによって考案された概念です。
エネルギーが同じであっても、摂取後の血糖値の上昇が食品によって違うことに注目し、食べ物を食べたときの血糖値の上昇の具合を数値化したものです。

GI‐算出の仕方
基準食品を食べた後の血糖値上昇を100として、ほかの食品の血糖値上昇具合を比較して算出します。GIが高い食品ほど、食べた後の血糖値上昇が高い食品となります。
ただし、日本と欧米とでは食生活が異なるため、そのままを直接的に取り入れることはできませんが、日本では現在、この考え方に注目し、米飯をGI基準食品とする研究がすすめられています。

GIから見た食事のポイント
米飯を例にとりますと、精白米は胚芽米よりもGIが高いのです。
しかし、GIの数値ばかりにとらわれていると、栄養偏重になる可能性もあるので注意が必要です。大切なのは、バランスよく食べること。
そして、賢い食べあわせで血糖値上昇を抑えることが大切です。
血糖値上昇を抑えるGIの食事ポイントを、いかで紹介しましょう。

GIの食事ポイント

1.食物繊維の豊富な野菜・きのこや海藻を一緒に取る
GIの高い白米も、食物繊維が豊富な良品と一緒に摂れば、血糖値の上昇を抑えることができる

2.ダイズやダイズ食品を一緒に摂る
ダイズや味噌・納豆・凍み豆腐などのダイズ製品を一緒に摂ると、血糖値上昇を抑えることができる

3.酢の物を一緒に摂る
酢にはGI上昇を抑える働きがある。酢の物やドレッシングなどで一緒に摂り入れるとよい。
ただし、ドレッシングは脂質が多くなりすぎないように注意する

4.うどんやそばには、タップリの野菜を入れて食べる
麺類は白米よりもGIが低いが、野菜を加えるとさらに血糖値上昇を抑えることができる

GIの高いもの、低いもの

GIの高いもの、低いもの

 

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