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肝臓病を知る

      2015/11/23

肝臓病を知る

肝臓は何をしている?

肝臓はどこにある?
肝臓は、体の中の右側にあります。図2‐1‐1のように、肋骨で作られる「龍」の内側で、横隔膜に接する腹腔の最上部に存在します。最上郡は右側の乳頭付近まで、最下部はお臍の上部あたりまでです。

肝臓

肝臓

肝臓は人体最大の臓器で、大人では1200?1500グラムもある大きな臓器です。たとえば、心臓は200?300グラム、腎臓は150グラム、脳は1100?1300グラムです。肝臓がいかに大きいかわかるでしょう。大人では体重の約50分の1の重さですが、出生直後の赤ちゃんでは、なんと体重全体の約8分の一を占めます。
肝臓は通常、人体に1つしかない臓器です。鎌状開腹を境にして、右葉と左葉に分けられますが、腎臓のように左右に分かれているわけではありません。右葉の方が圧倒的に大きな部位を占めています。この右葉と左葉の大きさの違いが、肝臓の外科手術や、生体肝移植の際に大きな問題になります。

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肝臓は何をしている?
では、肝臓は一体どんな働きをする臓Sなのでしょうか。胃なら、口から入った食べ物を消化する臓器だとすぐに理解できるでしょう。腸は、食物の養分や水分を吸収する臓器だとわかります。心臓なら血液を全身の臓器に送り出すポンプのような臓器だと想像できます。ところが肝臓は、重さが1500グラムもある人体最大の臓器であるわりには、何をやっているのかちょっと思い浮かばないかも知れません。ここでは、肝臓の基本的な働きについて説明しましょう。
まず、肝臓の中に流人する血流には、「門脈」から入る血流と、「肝動脈」から入る血流の二種類があります。肝臓はこの二種類の血涙によって養われています。門脈には腸管から吸収された養分が流れ込みます。
このことから、肝臓はそれらの養分を処理する臓器であると理解できます。一方、肝動脈から流人する血液には酸素がたくさん含まれています。したがって、肝動脈は、主として肝臓の細胞群に対して酸素を供給するのが仕事であるとわかります。門脈と肝動脈から流入する血液は、毎分丁五リットルにもなると考えられています。
肝臓の独特の機能を考えるときには、主に門脈から流入する物質の流れを見ます。肝臓の主な機能は、次の三つです。これらの機能は相互に密接に関連しています。
1 物質の代謝
2 解毒作用
3 胆汁の生成
これらの機能を支えているのが、門脈から流入する門脈血です。
「物質の代謝」などと言われると難しく聞こえますが、口から入った食べ物は、必要な栄養素として消化され、脂肪酸、アミノ酸、ブドウ糖などの形で腸管から吸収され、門脈を経由して肝臓に運ばれます。肝臓に運ばれた栄養素は、肝臓の細胞の中にある何百種類もの酵素の働きにより分解され、タンパク質など必要な物質に再合成されて、細胞内に備蓄されたり、血液中に再度放出されたりします。
人体の中で活躍する代表的なタンパク質は、肝臓で合成されるアルブミンです。アルブミンは血液中に放出されて、全身の血漿浸透圧を保ったり、物質を運んだり、様々な役割をこなしています。また、出血を止める際に必要な凝固因子(これもタンパク質です)も肝臓で作られ、血液中に放出されて全身の止血に活躍します。

肝臓は何をしている?

肝臓は何をしている?

 

肝臓のおもな機能は,①物質の代謝,②解毒作用,③胆汁の生成の3つ.肝臓は肝動脈と門脈を通じて流れ込む血液によって養われている.とくに,門脈には腸管から吸収された様々な養分が流れ込み,肝臓の機能を支えている
肝機能が落ちると、そのアルブミンが産生されなくなります。そのため、血漿浸透圧が保てずに、全身の水分のコントロールがうまくいかず、むくみ(浮腫)や腹水が出たりします。また、凝固因子の産生も低下するため、ちょっとした打撲でも打身ができたり、血液が止まりにくくなります(これを「出血傾向」と言います)。
同じく門脈を通してブドウ糖の形で肝臓にとりこまれた栄養素は、グリコーゲンという形に変わって、肝臓内に蓄えられます。
グリコーゲンは、飢餓のような緊急時に備えるための物質です。必要なときは糖新生が起こり、プドウ糖の形で血液中に再度放出されて、血糖のレベルを一定に保つように働きます。もう一つの代表的な栄養素が脂肪分です。肝臓に入った脂肪分は、各種の酵素などの働きで中性脂肪やコレステロールとして肝臓の細胞の中で利用され一部は備蓄されます。そして、余った分は、血液中に放出され筋肉や脂肪組織に備蓄され、緊急時にエネルギー源として使われます。
では、二つ目の機能の「解毒作用」とは何でしょう。たとえば、肝硬変の患者さんは、ウイルスや細菌の感染に弱くなることが知られています。これは、肝臓による解毒作用が働かなくなっているためです。解毒作用とは、肝臓に回ってくる有害物質を無毒化する作用です。肝臓には門脈を通して栄養素以外にも様々なものが流れ込みます。食品添加物や薬の成分、また、時には細菌や細菌の一部の有害物質も流れ込んできます。これらの物質はどれも、人体にとっては異物です。したがって、取り除かなければいけません。肝臓には、そのような有害物質を分解・消化し無毒化する働きがあるのです。広い意昧での「解毒作用」です。
さて、人間の命と同じように、血液中に流れる赤血球やコレステロールなどにも寿命があります。そうした古くなって寿命のきた赤血球の一部の成分やコレステロールは肝臓で分解されて、「胆汁(たんじゅう)」に変えられます。これが三つ目の機能、「胆汁の生成」です。胆汁は肝臓から分泌される消化液の一種で、主に脂肪の吸収を助ける役目があります。毎日500?800ミリリットル程度、肝臓から胆管に分泌され、一時胆のうに留まり濃縮されて十二指腸に排泄され、胃から流れてきた脂肪分を膵液とともに分解する役割を担います。肝臓から出てきたばかりの胆汁は黄色で薄い色をしていますが、胆のうで濃縮され濃い色の胆汁として排泄されます。このプロセスに何らかの異常があると、胆のうで濃縮された胆汁が固まり、胆石となります。また、この胆汁の流れが滞り胆汁の成分が血液の中に逆流するのが黄疸です。
このように人体のしくみは巧妙で、老廃物や余った成分を分解して排泄します。その排泄物である胆汁に機能を持たせ、脂肪の分解・吸収を助けるような役割を担わせているのです。
「沈黙の臓器」と言われる肝臓ですが、昼夜を問わず、黙々と体みなく働いているのです。このような働きがないと人体の恒常性(ホメオスタシス)を保つことは不可能です。肝臓が重要な臓器と言われる所以です。

肝臓はどうできている?

一般に、人体の臓器は、動脈から流入する酸素の豊富な血液により養われ、静脈から臓器内の老廃物を流出させて機能しています。ただし、肝臓は非常に特殊な臓器で、動脈系である肝動脈と、静脈系である門脈によって血流が二重支配されています。血液の流人路として、本来の動脈である肝動脈の他に、静脈である門脈も使われているのです,興味深いことに、正常な状態では、門脈からの流入の方が優位で、流入する血液の70%程度を占めています。
これは解剖学的なつながりを考えるとわかります。食べ物を消化して体内に取り込まれた栄養素は、腸管から吸収され門脈に入ります、そして、門脈を通して肝臓の中に流人して、糖質やタンパク質や脂質などの合成に利川されます、肝臓は、人体内の「化学工場]です。門脈は、その化学工場である肝臓に原料を安定的に供給するためのメインルートなのです。

肝臓の仕組み

肝臓のしくみ

 

肝臓は特殊な臓器で.血液の流人路として肝動脈の他に静脈系である門脈も使われている.流出路としては、肝静脈の他に胆汁を流す胆管もある
一方の肝動脈は、一般の臓器と同様に、酸素の供給源として働きます。肺を経由して酸素をたくさん蓄えてきた血液は、大動脈から腹腔動脈を経由して肝動脈を通じて肝臓の中に流入します。肝動脈からの血液は枝分かれして肝臓の「類洞(るいどう)」という、内皮細胞、肝星細胞、クッパー細胞などで作られる特殊な血液の流れ道に入り、門脈から来た血液と混じります。酸素を持った動脈血は、類洞を流れる間に肝細胞に酸素を供給して、排出路である中心静脈に流れていき、最終的に、肝静脈に入っていきます。これが肝臓からの流出路にあたります。この肝静脈を介して、血液は下大静脈に合流して、心臓に戻っていきます。さらに肺を通過して酸素を十分に持った動脈血となり再度同じ経路を通り肝臓に至るわけです。
ただし、肝臓には静脈系だけでなくもう一つの流出路があります。それは血管ではなく「胆管」です。肝臓で作られる胆汁を、総胆管→胆のう→十二指腸というルートで流す、肝臓ならではの流出路で血液は流れません。このように、肝臓は人体の臓器のなかでも、非常に特殊な仕組みをした臓器なのです。

肝臓を作る細胞たち
肝臓の成り立ちを顕微鏡レベルで考えてみましょう。肝臓を構成する細胞は種類が豊富です。概念的な分類ですが、まず大きく分けて、

・実質細胞
・非実質細胞
の二つがあります。実質細胞は肝臓の主要な機能を果たす細胞、非実質細胞はその主要な機能を助けるための細胞です。どちらも生存に必須の細胞群です。とくに、非実質細胞はこれまで、単に実質細胞の機能を助ける役割をする細胞群と考えられていましたが、近年の学問の進歩により、多彩な機能を発揮して肝臓の機能をコントロールしていることが明らかになりました。
ここでは、この二つの分類に従って、肝臓を形づくる細胞について説明していきましょう。

実質細胞
実質細胞は、肝臓の細胞群の中で60%を占める多数派の細胞です。肝細胞は、多角形のサイコロのような形をした細胞で、大きさは20?30ミクロン、赤血球の三?五倍くらいです。
細胞の表面には微絨毛という突起が生えています。
肝臓の細胞は、一般的には、隣接する細胞と密に接合し、肝細胞索という構造を形成して肝臓という臓器全体を構成しています。

毛細胆管

毛細胆管

 

細胞と細胞の間の接合面には「毛細胆管」
という、胆管の源流が形成されています。毛細胆管は、肝細胞から分泌される最初の胆汁を受け入れています。肝細胞が血直と接する面は「類洞面」、毛細胆管と接する面は「胆管面」と呼ばれています。
肝細胞を.電子顕微鏡で見てみると、通常は、細胞の中心に核が一個あり、ミトコンドリアが多数あることに気がつきます。ミトコンドリアは、細胞のエネルギー生産基地です。そのミトコンドリアが沢山あるということは、肝細胞がいかに多くの什事をし、そのためにいかにエネルギーが必要かを表しています。
肝細胞にはその他にも、細胞内小器官である粗面小胞体(そめんしょうほうたい)滑面(かつめん)小胞体、リソソーム、ゴルジ装置、ペルオキシソームなどがあります(図2-4-2)。

図2-4-2

図2-4-2

 

肝細胞の小器官.肝細胞は大きさ20?30ミクロン,多角形のサイコロのような形をした細胞.細胞の中には,様々な細胞小器官があり,肝細胞の働きを支えている

また、細胞の.二次元構造を支える細胞骨格(家屋でいえば骨組み)として、アクチンフィラメント、中間系フィラメント、ミクロチユブルスがあります。これらのフィラメント群は単に細胞の「骨]として支える機能のほかに、細胞の動き、細胞内の物質の移動、刺激の伝達などに大きな役割を果たしているのがわかってきています。

非実質細胞
非実質細胞は、肝臓での血液の通り道(類洞)を構成する細胞群です。内皮細胞、クッパー細胞、肝星細胞、ピット細胞が代表的なものです。肝臓では動脈系と静脈系が直接つながることはなく、肝臓の中で一度類洞となって網の目のようになります。肝臓の中を通過していく血液は、肝細胞と接触して、物質交換をして静脈系に流れていきます。その類洞を構成する細胞が非実質細胞です。
内皮細胞は、類洞の壁を構成して血液が流れやすくしている細胞で、基本的には連続して類洞を裏打ちしています。内皮細胞自体も血涙からの物質の取り込みに寄与していますが、細胞自体に篩板(ふるいばん)と呼ばれる孔が散在しており、血涙が内皮細胞から類洞の外側に存在する肝細胞に接触しやすくしています。
クッパー細胞は、類洞内腔に存在するマクロファージ(貪食細胞=どんしょくさいぼう)で、血液中から占い障害された細胞やその破片、細菌、ウイルスなどを除去するのが仕事です。肝臓の中に入り込んできた細菌やウイルスを取り込んで、化学的に消化してしまいます。それと同時に、このクッパー細胞は、免疫現象に大きな役割を果たします。多くの生理活性物質を放出し、肝臓の障害に働いたり、防御に働いたりと多彩な顔を持っています。

類洞は肝臓の中の毛細血管のようなもの

類洞は肝臓の中の毛細血管のようなもの

肝星(かんほし)細胞は、私にとっては思い入れのある細胞です。若い時に、この細胞の同定と機能解析の研究を始め、現在も非常に興味を持って研究している細胞
です。ビタミンAを蓄える細胞として有名な細胞で、元群馬大学の解剖学教授であられた故伊東俊郎先生の名にちなんで「伊東細胞」と呼ばれることもあります。
肝星細胞は、類別の内皮細胞と肝細胞の間のスペースであるディセ腔に住み着き、内皮細胞の裏打ちをしています。多くの偽足様突起を長く伸ばし、類洞を取り囲むようにして存在します。この突起を筋肉のように伸び縮みさせて類洞腔を収縮させ、血流を調節します。
実際、この細胞には筋肉細胞に特有なデスミンというタンパク質が認められ、構造的にも収縮に関与する装置がそろっているようです。このことは一九八一年頃、私の同級生の横井幸男先生と発見して報告したものです。デスミンが伊東細胞の同定に使用できるようになり、肝臓の細胞をばらばらにして、培養細胞を作製して研究することを容易にしました。この成果は、のちの研究のブレークスルーを多く引き出しました。
肝星細胞はまた、細胞の中に多くのビタミンAの脂肪滴を蓄えており、ビタミンAの代謝にも大きくかかわっています。慢性肝炎や肝硬変などの病気になると、肝臓の中のコラーゲン線維が著しく増えますが、それはこの細胞が産生しているものです。また、炎症の際には多くの生理活性物質を放出して活躍します。このように肝星細胞は様々な顔を持っており、言ってみれば、一人で多くの人物に化ける「怪人二十面相」のような細胞です。ピット細胞は、免疫担当細胞の一つで「ナチュラル・キラー細胞」と呼ばれるリンパ球の一種です。類洞内皮細胞の表面に存在します。類洞内を動きまわって、腫瘍細胞や感染した細胞などを殺す役割を果たしています。
非実質細胞の機能は本当に多彩で、研究する際にはいろいろと困難がともないます。個々の細胞の機能解析をしつつ、他の非実質細胞との相互関係、実質細胞との相互関係などを解き明かさなくてはいけません。以前は肝臓病の研究は、実質細胞の研究が主でした。しかし、細胞生物学や分子生物学の進歩によって非実質細胞の重要性が注目されています。今後の研究の進展が楽しみな分野です。

肝臓病を知る

肝臆病を分類すると
肝臓病の全体像を知る際には、病気を
・原因
・程度・状態
という二つの側面からとらえるのがよいと思います。実際、医師はこの二つの側面から肝臓病という病気を分類し、診断していきます。
「原因」による分類は、たとえばウイルスやアルコールなどの原因を特定し、病気を分類するものです。もう一つの「程度・状態」(まとめて「病態」と言うことにします)による分類は、皆さんにもなじみが深いでしょう。病態は具体的には、「急性肝炎」や「肝硬変」という病名で表します。医師は、これら「原因」と「病態」の二つを祖み合わせて、肝臓の病気を診断します。たとえば、「B型肝炎ウイルスによる急性肝炎」などと言います。

原因から知る

1960年代にB型肝炎ウイルスが発見され、1970年代から、血液検査で測定することが可能になりました。さらにA型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルスなどが次々に血液検査で測定できるようになっています。それらの検査法を駆使して調べてみると、肝臓病の原因は、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスが多く、さらに昔から肝臓の病気の原因と言われていたアルコール、さらに薬剤、免疫異常などが報告されています。また、最近の注目はメタボリック症候群に関連する脂肪肝で、肥満が肝臓病の原因の1つとして考えられるようになってきています。

病態から知る
肝臓病の病態には、よく知られているもので、
1 急性肝炎・劇症肝炎
2 慢性肝炎
3 肝硬変
4 肝がん
の四つがあります。この四つはそれぞれ病気の程度(進行具合)にも関係しています。肝臓病の場合、慢性化すると病態はしばしば時間とともに変化していきます。肝臓病は、特殊な例を除いて、最初は急性肝炎になり、治りきらない場合に慢性肝炎に移行し、さらに病気が進行し、肝硬変になり、最終的に肝がんになるというルートをたどるのが特徴なのです。
これは逆に言うと、肝臓病で最も気をつけなくてはいけないのは、「このルートに乗らない」ことです。つまり、「慢性化させない」ということなのです。したがって、ルートの始まりである急性肝炎をしっかり完全に治すことが、とても重要になります。また、運悪くこのルートに乗ってから病気が発見された場合には、ルートを外れるべく治療を受けることが肝心です。
肝臓病で一番典型的なものが、C型肝炎ウイルスによる肝臓病です。急性肝炎が慢性化すると、最初のウイルス感染から20?30年の経過で、急性肝炎慢→性肝炎→肝硬変→肝がんと進むことが明らかにされています。もちろん、すべての患者さんがそうなるわけではありませんし、最近は治療も進歩していますので途中で治癒する患者さんもたくさんいます。次に、この急性肝炎について簡単に説明しましょう。

急性肝炎と劇症肝炎

急性肝炎

日常的にみる急性肝炎は、おもにウイルス感染や薬剤のアレルギーが原因で起こる疾患です。
一般的には予後は良好で、しっかり治療すれば、ほとんどの場合、後腐れなく治ってしまうものです。急性肝炎は、この後すぐに説明する「劇症肝炎」になる場合以外は、ほとんど一時的な病気で心配のない疾患です。(劇症肝炎は本当に要注意です。急性肝炎の中の約1%の患者さんが劇症肝炎となり、その半分は死亡することがあります。)
急性肝炎の原因となる「肝炎ウイルス」には、A型、B型、C型、D型、E型の五種類が知られています。原因の内訳をみると、日本ではA型が三割、B型が三割、C型が一割、その他が三割くらいと考えられています。A型、B型、C型、その他でそれぞれ、3:3:1:3の割合と覚えておいてください。ただし、この割合は、国や地域により違ってきます。
その他の原因の中には、私が罹った急性肝炎のように、薬剤が原因で起こるものや、風邪のような疾患を引き起こすEBウイルスやサイトメガロウイルスといったウイルスに感染して起こる場合もあります。
急性肝炎は、臨床的には、前駆症状として、風邪をひいたような症状(発熱、咽頭痛、頭痛)から始まり、全身のだるさ、食欲不振が出現して、症例により嘔気・嘔吐、尿の浸染、黄疸が出現します。
血液検査を行い、肝機能を調べれば確実にわかりますが、初期の段階で急性肝炎を診断することは困難です。本書の初めで紹介した私の事例のように、一晩中身の置き場のないような全身倦怠感が出現するだけで、よもや自分が急性肝炎に罹ったとは思いもよらない場合が多いからです。私の場合は、何か普通の風邪とは違うなと感じて、血液検査をしてもらったところ、肝機能検査がひどい値であったため、即入院となったわけです。肝臓病の専門医が罹っても症状だけでは診断ができないほど、急性肝炎の症状は微妙です。実際は、黄疸のような明瞭な症状を確認して初めて診断されることが多いと思います。症状がごく軽度のこともあり、急性肝炎になったことに気づかないうちに治ってしまう場合も結構あるのではないかと考えています。
急性肝炎を示唆するような患者さんが受診した場合、医師は真っ先に血液検査をします。さきに紹介したように検査項目は様々あり、その各々に重要な役割と意味があります。医師が血液検査で一番知りたいのは、肝細胞の障害がどの程度起こっているかです。たとえば、ASTやALTという検査項目は、数値が高ければ高いほど悪いわけで、そういうときには障害の程度が大きいと判断します。ただし、血液を採るタイミングなど、様々な要因を考慮する必要があります。
急性肝炎で唯一気をつけなければいけない点は、劇症肝炎に進行するかどうかということです。AST、ALT、ピリルビンなどの値が高ければ高いほど、障害がひどい可能性はあるのですが、それだけでは重症度を把握するには十分ではありません。そこで重要となる検査項目が、急性肝炎の重症度を測る「プロトロンビン時間」です。
プロトロンビンという血液凝固因子は肝細胞だけで産生され、他の臓器や細胞で作られることはありません。しかも壊されるのが非常に速いため、肝細胞障害の病態を素早く反映します。肝細胞が急激に大量に破壊された場合、肝臓全体としてプロトロンビンの合成力が極端に低下していく一方、壊されるのが速いので凝固因子が枯渇して血液が凝固しにくくなります。こうなると劇症肝炎への移行が危惧される病態となります。劇症肝炎では、一般の急性肝炎では出現することのない意識障害が確認できるようになります。
そのようなことがなければ、急性肝炎は、軽症の場合は、外来管理でも十分治療可能です。
ただし、障害が比較的ひどい場合は、入院治療ということになります。急性肝炎の治療は安静・臥床が基本で、肝臓に十分の血流を増加させて回復を図ります。同時に食欲不振の強い例では、点滴をしたりすることもありますが、ピークを過ぎていれば、基本的には長期間の入院治療は必要ありません。
急性肝炎に対する特別の治療薬はなく、おもに自然経過を見ることになります。もちろん症例によっては、抗ウイルス剤を使うこともあります。B型肝炎ウイルスによる急性肝炎の場合は10%程度、C型肝炎ウイルスによる急性肝炎の場合は70%が慢性肝炎に移行することが最近わかってきていますが、それ以外のウイルスによる急性肝炎は自然に治癒して予後良好です。薬剤アレルギーによる急性肝炎も、原因薬剤をのむのをただちに止め、また再度のまなければ問題はありません。

劇症肝炎

急性肝炎の中で唯一危険な予後の悪い肝炎のタイプが「劇症肝炎」です。わが国では年間500?1000例くらいの発生を見ています。ウイルスや薬剤などが原因となり、急激に肝細胞の壊死・脱落が起こる病態で、肝細胞の再生ができないか、十分ではない場合に起こります。
日本では、原因は肝炎ウイルスが48%、原因不明が32%、薬剤が10%、自己免疫が7%と報告されています。肝炎ウイルスの中では、B型肝炎ウイルスが半分ほどを占めています。
劇症肝炎では、急激に肝不全兆候を表します。高度の黄疸と肝性脳症、酸っぱいような肝性口臭、皮膚の点状出血などの出血傾向が見られます。一般の急性肝炎とは違い、明らかな重症感があります。肝細胞の壊死・脱落、再生不全の結果、通常では1200グラムもある肝臓が、短期間に300グラム程度まで萎縮(いしゅく)してしまうことも珍しくありません。このことは、肝臓のCT検査や超音波検査でよくわかりますし、死亡後の解剖の際にもよくわかります。
劇症肝炎になると、肝機能がまったく働かなくなり、プロトロンビンなどを代表とする凝固因子タンパクが合成されず出血傾向をきたし、代謝能の低下でビリルビンやアンモニアなどの老廃物を処理できず、肝性脳症を引き起こしたり、糖代謝がうまくいかないので低血糖を起こしたりします。したがって、集中治療室での十分な管理をすることになります。
こうなると主治医は大変で、他のことをすべてなげうって治療に専念することになります。
主治医以外にも多くの専門家が治療に参画します。十分な輸液の管理を行いながら、抗ウイルス薬、副腎皮質ホルモン剤を投与したり、出血傾向対策や脱水症対策、呼吸管理をしながら、老廃物の除去、病態を悪化させる生理活性物質の除去などを目的に、血漿交換療法・持統的血液ろ過透析療法などを行います。それでも病態の好転がない時は、数日の勝負になります。肝移植も考慮にいれます。わが国では脳死肝移植は症例が少なく、このような緊急の症例には間に合わないことが多く、近親者をドナー(臓器提供者)とした緊急生体肝移植に頼らざるをえません。
しかし、このような努力をしても、患者さんの約半数は助けられません。助けられるのは、肝炎発症から二週間以内に脳症を認めた急性型の場合がほとんどです。脳症発生までだらだらと時間のかかった亜急性型は、ほとんど救命できないのが現実です。ただし、ドナーさえいれば、亜急性型は比較的に時間の猶予があるので、移植で救命できる可能性があります。肝移植ができれば、劇症肝炎の約ハ割は救命できます。2010年の法律改正により脳死患者からの肝臓を用いた脳死肝移植の症例が急激に増えています。状況によっては、いままでの生体肝移植とともに脳死肝移植も治療法の1つとして考えるときがきたようです。

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