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睡眠薬と精神安定剤 4章

   

精神安定剤について

不眠は心の病の初期症状であることが多い

べッドに入ったものの全然眠れなくて困ったという経験は、誰にでも一度や二度はあるかと思います。
とても気になることがあって心配で眠れないこともあれば、どういうわけか目が冴えて眠れないということもあるでしょう。なかには、不眠が何日も続き、仕事などに影響が出て困るという事態に発展することもあるかもしれません。不眠の原因にはさまざまなものがありますが、心の病のために不眠が続くことも少なくありません。統合失調症(精神分裂病)、うつ病などの心の病では、初期症状として不眠が最初にみられることがよくあります。
不眠を伴わない心の病は非常に少なく、もし不眠を伴わない場合、その心の病はとても軽いと判断できることもしばしばです。それくらい不眠は、心の病の重要なサインになります。
いいかえれば、人間は心を病めば病むほど、体リズムのなかでとても重要な位置を占める眠が乱れるということです。したがって、周囲に心の病が疑われる人、あいは心の病の可能性がある人がいるような場合、「最近、何か心配事がありますか」と尋ねる前に、「最近、夜はぐっすり眠れますか」と尋ねるのもよいかもしれません。
なぜなら、心配事があっても「実は私には○○という悩みがあります」と正直に心のなかを打ち明けることはなかなかできないものだからです。しかし、「最近、ちょっと睡眠不足で困っているのです」という内容なら、だいぶ話しやすいように思います。

精神安定剤とは

精神安定剤とは、その言葉どおり心の安定を得るための薬剤です。精神科領域で用いる薬剤は以下のような種類に分類することができます。

精神科領域で用いる薬

精神科領域で用いる薬

表1に示したように、統合失調症(精神分裂病)や覚せい剤中毒などにみられる幻覚妄想状態を改善するために用いる「抗幻覚妄想薬」、興奮を抑えるための「鎮静薬」(以上を抗精神病薬ともいう)、うつ病の気分の落ち込みや意欲の低下に対して用いる「抗うつ薬」、気分の高揚を抑えるための「抗そう薬」、不安や緊張をやわらげるための「抗不安薬」、そして本書のテーマである「睡眠薬」などがあります。

抗不安薬

①不安や緊張をやわらげる抗不安薬

精神安定剤のなかでも、もっとも作用がマイルドでしばしば用いられる薬剤が抗不安薬です。抗不安薬は、内科、外科、産婦人科などのほとんどの診療科に常備してある薬剤であり、とてもポピュラーな薬剤のひとつです。
抗不安薬の多くは、ベンゾジアゼピン系であり、これらは睡眠薬と同様に、ベンゾジアゼピン受容体にくっつき、不安や緊張をやわらげます。
べンゾジアゼピン系の抗不安薬が、ベンゾジアゼピン受容体にくっつくと、GABA(ギャバ)と呼ばれる受容体を介して、さまざまな神経の機能を抑えるように働きます。GABAを介して抑制される神経系としては、不安に関連しているノルアドレナリンやセロトニンの系列が考えられています。

さまざまな抗不安薬

さまざまな抗不安薬

表2に示したように、抗不安薬には実にさまざまなものがあります。

②抗不安薬が必要な場合

抗不安薬は、心理的な葛藤や不安が強く、しかも精神的苦痛が激しい場合に用いられます。
心の病としては、「パニック障害」や「全般性不安障害」などの不安障害に用いられます。
一方、心の病でない場合も抗不安薬は用いられます。
たとえば、大きな手術の前日は、患者さんは「明日の手術がうまくいくだろうか。もしかしたら失敗するのでは・・・」などの不安を抱え、夜眠れなくなることがあります。こういう場合には抗不安薬を処方し、不安を少しでも軽減させるよう試みることがあります。
また、不安には、経済的な不安、家庭内トラブルによる不安、大きな病気を患ったことによって生じる不安など、さまざまな不安がありま
すが、あまりにもこの種の不安が強すぎる場合、抗不安薬でやわらげることも可能です。しかし、この場合は、薬によって不安のみを軽減させるわけで、不安の根本的な原因が改善されたわけではありません。
したがって、一時的に抗不安薬の効果が認められたとしても、再び不安が大きくなることは十分に考えられます。
それでも抗不安薬によって不安が軽減し、少しでも精神状態が安定するのであれば、抗不安薬を用いたほうが賢明のように思います。

③抗不安薬の催眠効果

不安が強すぎる場合、夜べッドに入った後もいろいろな考えが浮かんできて不眠状態に陥ることがあります。こういうとき、睡眠薬でく抗不安薬を服薬することで不安が軽減し、眠状態が改善することがあります。
つまり、不眠を直接的に改善させる睡眠薬で眠れるようにするのではなく、不安や葛藤を抗不安薬で軽減させて、不眠を二次的に改善させる方法です。しかも抗不安薬は睡眠薬ほどではないにしても、催眠効果は十分に備えていますので、睡眠薬代わりに用いることも可能です。なぜならすでに説明したように、抗不安薬も睡眠薬と同じように、ベンゾジアゼピン受容体に作用し、GABAを介して効果を発揮する薬物だからです。もし睡眠薬を用いないでも眠れるのであれば、抗不安薬で眠るほうが望ましいでしょう。

④抗不安薬の主作用と副作用
●主作用
抗不安薬の主作用には、心の緊張をほぐし、不安を取り除くという作用があります。緊張が
ほぐれ、不安が軽減すると、ほとんどの人は心地よくなり、眠気を感じ始めます。
多くの抗不安薬は、服薬後30分から1時間くらいに血液中の濃度がピークになり、その後、しだいに効果は弱くなっていきます。そのため、1日3回前後の服薬が行われます。状況によっては、不安を感じ始めたときに抗不安薬を使用する、という方法を用いることもあります。
●副作用抗不安薬の副作用は、基本的に睡眠薬と変わりがありません。すなわち睡眠薬と同様に抗不安薬が効きすぎて、ふらつきや過度の眠気などがみられることがあります。
しかし、眠気は副作用というよりも、主作用といってさしつかえないように思います。つまり、眠気が出てきたということは、抗不安薬によって不安や緊張がやわらいだ証拠ですので、その場合には横になって休んでほしいのです。
ただし、就労中の場合、横になることはできませんから、そういうときは過度の眠気は逆にマイナスの作用として認知されるかもしれません。
総じて、抗不安薬の副作用はたいしたものはなく、それほど気をつかう必要はありません。

パニック障害や全般性不安障害

不安を主症状とする心の病は「不安障害」と呼ばれています。不安障害には「パニック障害」や「全般性不安障害」などがあります。間は誰しも不安を抱えながら生きているのですが、健康なレベルの不安はその不安の対象が明確です。たとえば、まもなく入学試験を受けなければならない受験生は、試験がうまくいくかどうか不安ですが、不安の対象は入学試験の結果であり、対象が明確です。
これに対して、全般性不安障害の不安は、「何となく不安であるが、自分で一体何が不安なのかわからない」というように対象が不明確な不安です(表3)。

病的な不安と健康的な不安の見分け方

病的な不安と健康的な不安の見分け方

また、パニック障害では、青天の露震のように、ある日突然に呼吸困難感が現れ、動棒や発汗などの身体症状が襲ってきます。そして、死ぬのではないかという不安にかられ、パニック状態に陥ります。
こうしたパニック障害を引き起こす不安もまた、「自分では何が不安なのかわからない・・・」という状況であり、ストレスを抱えすぎた結果、身体症状によって不安を表現しているのです。パニック障害で引き起こされる発作では、呼吸困難、動棒、発汗などさまざまな身体症状がみられます(表4、表5)。

表4.パニック発作(不安発作)の臨床的特徴
①突然の呼吸困難感や動悸や手足のしびれが生じ、数分から30分近く持続する
②救急車で病院に駆けつけるが、到着後まもなく消失するなど、パ二ックを起こす
③不安が除去されるとパニック発作は速やかに消失する
④診察や諸検査で異常所見はない
⑤週に数回、同様の発作が発生
⑥パニック発作で強い精神的苦痛を味わうと、また同じ発作を経験するのではないかと恐れ(予期不安)、外出できなくなることがある

表5.パニック発作にみられる身体症状
呼吸困難感、窒息感、動棒、発汗、吐き気、しびれ、四肢の冷感、腹部不快感、胸部不快感、失神など

抗うつ薬

①気分の落ち込みや意欲の低下を改善させる作用のあるのが抗うつ薬

精神安定剤のなかで、気分の落ち込みや意欲の低下を改善させる作用のあるのが抗うつ薬と呼ばれる薬剤です。

抗うつ薬は、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、塩酸トラゾドン、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRIなどの種類に大きく分けることができます。

さまざまな抗うつ薬

さまざまな抗うつ薬

最近開発された抗うつ薬がSSRIです。うつ病の原因は、脳内のセロトニンが欠乏したために起こるという考え方から作られた抗うつ薬で、日本では1999年にSSRIのひとつであるフルボキサミンが初めて販売されました。

SSRIは従来の抗うつ薬にみられる副作用がきわめて弱く、しかも、うつ状態に対する効果は十分にみられる新世代の抗うつ薬です。
現在、うつ状態に対する治療薬としては、SSRIが主流になりつつありますが、すべてがSSRIで対応できるわけではありません。三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬が好ましい場合も少なくありません。状況に応じて使い分けているのが現状です。
なお、うつ病の原因が脳内のセロトニンとノルアドレナリンの欠乏によって起こっているという考え方からつくられたSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)という抗うつ薬もあります。SNRIは、セロトニンとノルアドレナリンの働きを強める作用によってうつ病の症状を改善させます(図1)。

抗うつ薬は神経伝達物質の再取り込みを阻害する

抗うつ薬は神経伝達物質の再取り込みを阻害する

表7. うつ病にみられる精神症状と身体症状

精神症状
①抑うつ気分(気分が落ち込む)
②思考制止(考えがブレーキがかかったように進まない)
③意欲の低下(何に対しても興味がもてなくなる)
④漠然とした不安・悲哀感
⑤集中力・注意力の低下(記憶力の低下を伴う)
⑥自責感
⑦自殺念慮

身体症状
①不眠(早朝覚醒、中途覚醒、入眠困難、熟眠感の欠如)
②食欲低下
③全身倦怠感、易疲労感(いひろうかん・疲れやすいこと)
④動悸、便秘、インポテンツなどの自律神経症状

②うつ状態の原因と診断

うつ状態は、肉親の死、恋人との別れ、リストラによる失職などをはじめとした心理社会的な原因で生じるもの(心因性、あるいは反応性)、遺伝的な要因により原因がなく生じるもの(内因性)、脳血管障害や脳腫瘍などの脳器質的な病気、甲状腺機能亢進症などの体の病気、感染や中毒などが原因で生じるもの(外因性)に分けることができます(表8)。

表8 うつ状態の原因
1)心因性、反応性うつ状態
肉親の死やリストラによる失職などをはじめとした心理社会的な原因で生じるもの
2)内因性うつ状態
遺伝的な要因により原因なく生じるもの
3)外因性うつ状態
脳血管障害や脳腫瘍などの脳器質的な病気、甲状腺機能冗進症などの体の病気、感染や中毒などが原因で生じるもの

うつ病というと、多くの方々は心因性あるいは反応性によるものを想像するかもしれませんが、うつ状態はさまざまな原因で起こります。うつ状態に陥っている人が、頭部のMRIという写真を撮影したところ、脳腫瘍が見つかったということもあれば、血液検査でホルモンを調べたところ、甲状腺の機能が充進状態にあったということも決してまれではありません。したがって、病院ではうつ状態の患者さんに対して、頭部の写真をとったり、血液検査をしたりすることは決っして珍しいことではないのです。

③不眠は、うつ状態の初期症状
うつ状態の患者さんの多くは、不眠を訴えますから、抗うつ薬のほか、不眠症状に対しては睡眠薬を用います。
うつ状態の不眠は重篤であることが多く、ほとんどの場合、治療に睡眠薬を必要とします。ここで大切なのは、うつ状態の最初の症状は不眠で始まることが実に多いという点です。したがって不眠に対する睡眠薬を用いた治療が、うつ状態の治療の始まりであることも少なくないのです。もし不眠以外に、気分の落ち込みや意欲の低下など、うつ状態にみられる精神症状がすでに出現しているのであれば、睡眠薬による薬物治療に加えて、抗うつ薬による治療も始める必要があります。

④抗うつ薬の催眠効果
うつ状態に不眠が伴うことはすでに述べました。不眠を伴わないうつ状態はないといってもよいくらいです。
うつ状態に用いる抗うつ薬も、抗不安薬と同様に催眠効果をもっています。したがって、うつ状態に伴う不眠が強い場合は睡眠薬投与は不可欠ですが、不眠が軽い場合は抗うつ薬の催眠効果を期待して、睡眠薬代わりに就寝前に抗うつ薬を服薬してもらい、うつ状態の治療と不眠の治療を併せて行う方法もあります。
しかし、一般的にいえば患者さんにとっては、睡眠薬を用い、しっかりとした十分な睡眠をとってもらうほうが楽な場合が少なくありません。というのは、睡眠薬の効果判定は眠れるかどうかですぐに判断ができますが、抗うつ薬の場合は毎日規則正しく服薬してもらい、1週間から10日は経過しないとその効果判定を行うことができないからです。つまり、抗うつ薬の効果は現れるのに時間がかかるため、睡眠薬を用いてできるだけ早いうちに、不眠を速やかに改善させたほうがよいと考えられます。
睡眠薬を服薬することで不眠だけでもただちに改善されれば、うつ病の患者さんの苦痛は軽減され、とても楽になれるわけです。
不眠があれば、翌日に全身俺台悪感を強く感じ、疲れやすさも持続します。やはり人間にとって睡眠は、体調面を整えるための必須の項目であり、うつ状態の患者さんにもできるだけ早い段階で、不眠の改善が求められるのです。

⑤抗うつ薬の副作用
・のどの渇き・便秘・めまい・眠気・手の震え

すでに述べたように、三環系抗うつ薬はもっとも副作用が強く、一方、最近開発されたSSRIは
副作用がもっとも弱いとされています。

抗そう薬

抗そう薬は、激しく興奮するそう状態を改善させるための薬剤です。
リーマス(一般名炭酸リチウム)が代表的な抗そう薬です。ただし、リチウムは金属であり、さまざまな副作用を示す可能性があります。そこで、後述する抗精神病薬のなかでも鎮静作用の強い薬剤が、そう状態の改善に多く用いられます。

表10. 躁状態(そうじょうたい)にみられる症状
・気分の高揚
・情動易変性:感情が不安定
・観念奔逸:考えが次から次へと浮かび、会話はとても早く、話がとびやすい
・不眠:睡眠をとらなくても活力に満ち溢れている
・食欲亢進・性欲亢進
・誇大妄想:何でもできるという万能感にあふれている

抗精神病薬

抗精神病薬は名前のとおり、「統合失調症(精神分裂病)」などの精神疾患に対して用いる薬剤です。とくに幻覚妄想状態や激しい興奮状態に対して用いられることが少なくありません。
また、そう状態の激しい興奮を抑え、鎮静化させるためにも用います。

①幻覚妄想状態を呈する病気
抗精神病薬は、幻覚妄想に対する抗幻覚妄想薬と、鎮静を主目的として用いる鎮静薬に大別できます。幻覚妄想を呈するさまざまな病気に関しては、表11にまとめました。さらに、主な妄想について、表12にまとめました。

表11.幻覚妄想状態を呈する、さまざまな病気
①精神疾患
統合失調症(精神分裂病)、躁鬱病(そううつびょう)、非定型精神病
②脳の器質的な病気
脳腫瘍、脳血管障害、てんかん、アルツハイマー型痴呆
③体の病気
甲状腺機能亢進症、膠原病(こうげんびょう)
④薬剤によるもの
ステロイド精神病、覚せい剤中毒など
⑤外科的な手術後
⑥その他
アルコール性精神病など

表12.妄想の分類
被害妄想(自分が他人から危害を加えられるという内容をもつ妄想)
関係妄想(周囲の人の言動が自分に関係あるものと考える)
注察妄想(他人に見られていると考える)
追跡妄想(誰かに後をつけられていると考える)
嫉妬妄想(男女関係に関連したもの)
微小妄想(自己を過小評価するという内容をもつ妄想)
貧困妄想(財産を失うなどして貧乏になるのではないかと考える)
罪業妄想(道徳に反し、他人に迷惑をかける罪深い存在であるとする妄想)
虚無妄想(この世は生きるに値しないと考える)
誇大妄想(自己を過大評価するという内容をもつ妄想)

表11にあるように、幻覚妄想は心の病にみられることもあれば、脳腫瘍や脳血管障害などのように脳の器質的な病気にもみられます。また、体の病気が原因で幻覚妄想を呈することもありますし、覚醒剤中毒やステロイドを用いた薬物治療を受けている患者さんにもみられます。

表13.統合失調症(精神分裂病)の特徴
出現頻度 0.7〜0.8%(120〜130人に1人)
発病年齢 18歳〜30歳代前半に多い
性差 ほとんどない
<急性期>
・幻覚妄想が中心
・思考障害(意味不明の言動、了解不能な考えなど)
・激しい興奮(幻覚妄想による二次的な精神症状)
<慢性期>
・感情の平板化(物事に対する無関心)
・自閉的な生活
・人格の崩壊

②幻覚妄想状態の不眠への対処
幻覚妄想状態では、幻覚や妄想のために不眠を引き起こすことがしばしばあります。このような状態にある患者さんの不眠にも睡眠薬を用いることは少なくありませんが、睡眠薬では十分な催眠効果が得られないほど激しい興奮状態を伴っている患者さんもいます。
こういうときには、睡眠薬に加え、表14と表15に示した抗精神病薬を併用しなければならないこともあります。

③抗精神病薬の副作用

さまざまな抗精神病薬

さまざまな抗精神病薬

さまざまな抗精神病薬2

さまざまな抗精神病薬2

表14と表15に示したような抗精神病薬を用いると、パーキンソン症状、アカンジア、ジストニアなどの症状が副作用として起こることがあります。
もっともよくみられる副作用がパーキンソン症状です。これは体が硬直し、歩行ができなくなったり、目がつり上がったり、ろれつが回らなくなったりなど、さまざまな副作用としての症状が出てきます。
アカンジアでは、落ち着きがなくなって、立ったり座ったり歩き回ったりしないといられない状態になってしまいます。また、ジストニアは筋肉の調整がうまくいかなくなった状態になります。このほか、便秘、肝臓の障害、発彦、皮膚炎といった症状も起こることがあります。ちなみに、近年では日本でも使われるようになった非定型抗精神病薬(表15)では、これらの副作用の内のパーキンソン症状が現れにくいという特徴があり、注目されています。
それぞれの副作用への対策など、主治医と相談のうえ、よりよい治療を受けていきましょう。

高齢者のせん妄

①せん妄とは?
高齢になると睡眠時間が徐々に減少することはよく知られています。
単なる不眠であればよいのですが、うつ状態の初期症状としての不眠であれば、抗うつ薬を用いた薬物治療は欠かせません。また、高齢者の場合、夜中にわけのわからないことをいい出して、それを翌日全然覚えていないという「せん妄」が現れることがあります。
せん妄とは、意識が混瀬した状態において、幻覚妄想やこれに関連した行動異常を呈する状態をいいます。せん妄に伴う幻覚のほとんどが幻視であり、実在しないものが見えるという訴えがみられます。妄想の種類としては被害妄想が多く、「ドアの外に誰かがいる」と疑ったり、持っている物を盗まれたなどの訴えがみられたりします。
体の病気をもっていない健康な方でも、このせん妄の状態になることがあります。とくに高齢者の場合、いつ、せん妄状態に襲われても不思議ではありません。さらに、せん妄は、体の病気やさまざまな身体的病態を反映する精神症状でもあります。体の病気をもつ患者さんがふだんとは異なる言動をとるときには、このせん妄を注意しなければなりません。いずれにせよ、そのまま放置しておいても状態は改善しません。精神科医などによる早急な対処が必要です。
たいていの場合、夜間にわけのわからないことを言い出すため、一緒に生活している家族は夜もおちおち眠れなくなります。短期間で
あれば、まだよいのですが、毎日のようにせん妄を繰り返されると、家族の方々は不眠から疲労困備の状態になってしまいます。

②せん妄が起きる原因
高齢者では、ごくありふれた身体的変化(脱水、発熱、下痢、肺炎など)が原因で起こることもあれば、ちょっとした手術直後にみられることもあり、薬剤が原因で起こるせん妄もありますので注意しなければなりません。
とくに高齢者は多種類の薬剤を服用していることが多いので、なおさらせん妄を起こしやすいといえます。

③せん妄時にみられる精神症状

⑴意識混濁
意識混濁のレベルには日内変動(一日のなかで変化すること)があります。日中は意識清明の
で夜間のみ意識混濁が顕著になることもあるので、注意が必要です。

⑵幻覚
実在しないものが見えるという幻視がみられます。天井が歪んで見える、カーテンに人影が見える、ベッドの上に虫が這っているように見える、小さな動物が見えるなどの視覚性の強い訴えがみられることも重要な特徴のひとつです。

⑶異常行動
日頃慣れ親しんだ作業を行っているように見える行動の異常が出てきます。
たとえば着衣や寝具をまさぐるといったような、無意味で無目的な動作を行ってしまいます。

⑷先行する不眠
せん妄においても、ほかの精神症状と同様に、早期発見・早期治療が重要です。早期発見のための視点としては、睡眠障害がせん妄に先行して現れることがあります。高齢者に強い不眠が現れたときには、常にせん妄の存在を疑わなければなりません。比較的よくみられるパターンとして、日中はまどろみを繰り返し、夜間は不眠を呈するという昼夜逆転があります。せん妄は夜間に増悪することが多いのが特徴です。

精神安定剤の現状

精神科や神経科などで用いられることの多い精神安定剤は大きな変革期を迎えています。
たとえば、抗うつ薬では、三環系抗うつ薬と四環系抗うつ薬が主流でしたが、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が開発され、その臨床効果がたいへん優れていることが検証されました。
そのため、多くの臨床医は好んでSSRIを用いるようになっています。このような傾向は欧米では十数年前からとくに顕著でしたが、わが国でも数年前からSSRIが使用できるようになり、その使用頻度は確実に上昇しているようです。また、抗精神病薬では、非定型抗精神病薬が使用され始め、それ以降の普及は著しく、欧米ではかつて主流とされた抗精神病薬を完全に凌いでいる状態になっています。
わが国でも徐々にではありますが、同様の傾向がみられ始めています。このように精神安定剤は大きく変化しようとしています。現実的にみても、これらの新しい薬が、その臨床効果や副作用の改善といった面で有益であることは確かです。今後の治療において、患者さんに多くの恩恵をもたらしていくことが期待できます。

 

 

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