カリウム

カリウム かりうむ Kalium

カリウムはナトリウムと拮抗して、細胞内外のイオンバランスを調整することで浸透圧を一定にしながら、下記のような働きを担っている非常に重要なミネラルです。

  • 浸透圧を調整し、体内の水分量調節にも関わる
  • 神経細胞(膜)での刺激伝達物質となっている
  • 筋肉の弛緩を調節する作用
  • 細胞のエネルギー生産に関わる作用
  • 腎臓における老廃物の排泄を促す利尿作用
  • 一定量以上のカリウムは腎臓でナトリウムの排出に働く

カリウムは、塩分の摂りすぎ、コーヒーやお酒、甘い物などの嗜好品、ストレスなどで失いやすく、加工食品が多い食生活、メタボリックシンドローム予防、高血圧や糖尿病では 積極的に摂取したい栄養素です。
カリウムが不足すると、高血圧、低血糖、糖尿病、神経障害、精神障害、 不整脈、ストレスの増大、筋力低下、消化不良、食欲不振、肌荒れ、むくみなどの 症状を招きやすくなります。一方で、腎臓に障害があったり透析をされている方では、うまくコントロールしなければなりません。

ナトリウムとカリウムのバランスが、水分調節に働く

ヒトの体内でカリウムは、カルシウムとリンに続いて3番目に多く、体重1kgあたり約2g、全体の98%が組織の細胞内液に存在しています。
ナトリウムは、細胞の外側にそのほとんどがあり、両者は一定のバランスで保たれています。このための調節機構「ナトリウム-カリウムポンプ」といわれるものが、細胞膜にあります。
過剰にナトリウムを摂取する、あるいはカリウムが不足したなどで、両者のバランス調整ができなくなり極端にナトリウムが多くなると、ナトリウム濃度を下げるために水分を取り入れることになります。血管の細胞でこのようなことが起こると、血管壁が水分で膨れるため血圧が高くなり、顔では組織液やリンパ液が薄められ「むくみ」となって現れます。

■ カリウムは腎臓で、ナトリウムを排出し血圧を下げる働き

およそ2対1の比率でナトリウムとカリウムは体に必要なのですが、健康であれば、必要以上のカリウムは腎臓や副腎の働きで汗や尿として排出されます。このとき、排出されるカリウムと同じ量のナトリウムも排出されます。
高血圧を考えて減塩することは大切です。さらに、カリウムのこの働きを借りて減塩(ナトリウムとして排出)することができます。

また、カリウムには腎臓で血圧を下げる酵素カリクレイン(kallikrein)を増やす働きがあり、カリクレインの働きで血管が広がり血圧を下げることになります。

ナトリウムの食塩相当量:「食塩相当量」というのは、食品中に含まれるナトリウム量を食塩量に換算したも。計算式は、
【ナトリウム(mg)×2.54÷1,000=食塩相当量(g)】
●カリウムの1日の目安量
   成人男子で2000mgで、成人女子で1600mg
●高血圧の予防を目的としたカリウムの食事摂取基準
   成人男女のいずれも、3500mg

健康であればカリウムが過剰になることはありませんが、次のような場合には、高カリウム血症に注意しましょう。

  • 腎臓の機能障害(カリウムを排泄できない場合)
  • 過剰な砂糖(相対的に高カリウム血症となる)
  • インスリンの働きが悪い(血中にあるカリウムが細胞内に移動できない)
  • 高血圧のためACE阻害薬(降圧薬)(カリウムをため込む働きがある)
    AU受容体拮抗薬やカリウム保持性利尿薬も注意

■ カリウムはナトリウムとともに、神経伝達に働く

目や耳からの刺激が神経(神経細胞)を通して脳に伝わることで初めて「見たり聞いたりする」ことになります。このような神経細胞を使う刺激の伝達に、ナトリウムとカリウムの拮抗作用が働いています。

■ カリウムと筋肉 夏バテも突然死もカリウム不足

ナトリウムとカリウムのバランスで細胞内外の電位差が一定に守られる中、カルシウム濃度を変化させることで、筋肉に収縮と弛緩(元に戻す)を起こさせています。このため、ナトリウムとカリウムのバランスは、筋収縮を起こさせるカルシウム濃度変化にも影響を与えていて、カリウムは筋肉弛緩側に働く作用を持ちます。

例えば、カリウムが過剰になると筋肉が収縮しにくい状態、いわゆる高カリウム血症や弛緩症や低血圧などの症状となります。

一方、カリウムが欠乏すると、筋肉が収縮しやすくなるために、こむらがえり、心臓では不整脈やポンプとしての流量が弱くなったり、極端な場合は突然死、また、腸では蠕動運動が弱くなり便秘になるなど、いわゆる低カリウム血症の始まりとなります。

突然死の原因:1分間の心拍数が通常60回のところ、400〜600回にもなり、心臓全体が小刻みに震える「心室細動」という症状。心筋細胞内からのカリウム量出が心筋細胞を一瞬にして弛緩させるもの。過度な運動や、栄養バランスを欠いた過激なダイエットでも見られるという。

夏バテの原因:エネルギー生産を助けるビタミンB1不足とともに、カリウム不足のことも多くある。
大量の発汗、ビールなどの大酒による排尿、ミネラルを含まない真水の摂取など、カリウムの排出と消費が多くなる一方、ミネラルの補給不足となることが原因の1つとされる。

■ カリウムとインスリン

インスリンの働きが悪いと、血中にあるカリウムが細胞内に移動できなくなることで尿として排出されてしまい、カリウム不足になります。これはイオンバランスが壊れた状態であり、ナトリウムが相対的に多くなり「喉の渇き」を感じることが多くなります。
また、インスリンと同時に腎臓にも障害があると、カリウムの排出ができずに、血中にカリウムが溜まる高カリウム血症となることがあります。

■ 老廃物を放出するカリウムチャネル

ブドウ糖、アミノ酸などの栄養素は、ナトリウムが細胞内に流入するエネルギーを利用して、細胞が吸収することができます。一方、細胞内にできた老廃物はカリウムを細胞外に放出するときのエネルギーが利用されています。細胞膜にはこのよな働きをするイオンチャネルがあります。
この仕組みが働かないと、細胞でエネルギーがつくれなくなります。

イオンチャネル:細胞膜には、ナトリウムとカリウムを出し入れする3種類のタンパク質があります。
ナトリウムイオンチャネル:細胞内にナトリウムを流入させる
カリウムイオンチェネル:細胞外にカリウムを放出する
ナトリウム-カリウムイオンチャネル:両方を出し入れする

■ カリウムを損失する主な原因

  • 熱による調理で失われやすく、特に煮た場合の損失は約30%
  • 水に溶けやすく、水洗い、水にさらす、茹でる、等で失われる(ゆで汁を捨てない料理方法がよい)
  • 水に溶けやすく尿として排出されやすい
  • 食塩の摂取量が多いと、ナトリウムとともに尿として排泄される。マグネシウムがあると排出が減少する
  • ストレス、慢性的な下痢、
    コーヒー、大酒、甘いもの(砂糖やシロップ)
  • 加工食品や缶詰(塩分が多いので、摂取後に体から排出される)
  • 高血圧で服用する利尿剤
  • 糖尿病(インスリン)

■ カリウムとアルコール

焼酎、ウィスキーなどの蒸留酒と日本酒は、カリウムをほとんど含まないようですが、 ワイン、ビール、梅酒などには含まれていいて、赤ワインには110mg、白に60mg、ビールでは34mgとなっています。これは原材料にあったものが残されていると思われますが、アルコール類には利尿作用もあるため、飲み過ぎてトイレが近くなっては折角のカリウムも意味がないかもしれません。

カリウムの 【おもな働き】

*
ナトリウムと拮抗して細胞内外の浸透圧を一定に保つ働き
神経細胞(膜)で刺激伝達を行う
細胞で生じる老廃物の細胞外放出に関わる
腎臓での利尿作用やナトリウム排出作用
check point :
カリウムは神経伝達、降血圧、正常なエネルギー生産に重要
高血圧、低血糖、糖尿病、神経障害、精神障害、 不整脈、ストレスの増大、筋力低下、消化不良、食欲不振、肌荒れ、むくみ
 

カリウムの【効果】

有効性の報告 Web情報

お休みします

サプリメント・健康食品関係の説明 Web情報

お休みします

摂取食物からの効果 Web情報

お休みします

カリウムの【性質】

  • 水溶性
  • 熱に弱い

カリウムの【摂取】

  • 自然・天然の食物は低ナトリウム、高カリウムがほとんど。加工食品は逆転しているものが多い。
  • 精製食品や油脂類にはほとんど含まれていない。
  • カリウムの量を100g中で平均的に見ると、 海藻類に3200mgと最も多く、次が芋類の500mg。そして、野菜、きのこ、魚介、肉などに300mgとなります。 概して果物と大豆製品は少なめ、200mgです。
  • 調理では、水溶性で熱に弱いことに注意する。

カリウムの損失につながるもの

  • 熱による調理で失われやすく、特に煮た場合の損失は約30%
  • 他、上記参照。

カリウム製剤などによる副作用

  • 臭素酸カリウムにあるとされる強い変異原性(発ガン性):添加物の1つで、製パンを工業的に大量生産を行う場合にグルテンの品質改良剤として使われることがある。具体的な被害報告はない。

カリウムが過剰となるもの

  • 過剰なカリウムは腎臓から排出されるため、通常の食事で過剰になることはありません。
  • 腎臓の機能障害や人工透析では、カリウムの排泄障害から高カリウム血症となることがあります。
  • 砂糖の摂りすぎは、相対的に高カリウム血症を起こしやすくなります。
  • インスリンの働きが悪いと、血中にあるカリウムが細胞内に移動できなくなり、高カリウム血症となることがあります。
  • 高血圧のためACE阻害薬(降圧薬)は、カリウムをため込む働きがあります。AII受容体拮抗薬やカリウム保持性利尿薬にも注意です。
  • 高カリウム血症は、感覚異常、虚弱、弛緩症、無気力、めまい、精神錯乱、低血圧、血便、不整脈、心ブロックを起こし、死の原因となることがあります。

カリウムが不足した場合

  • カリウムは多くの食材に含まれていますが、食塩の過剰摂取によりナトリウムと一緒に排出され、加工食品が多くなった現代の食事では、不足しやすいミネラルです。
  • 不足時の症状では、高血圧、無気力、不整脈、心不全、食欲不振、便秘、夏バテ、膀胱麻痺、排尿困難、筋力低下、手足のしびれやけいれん、むくみ、などがあります。

主な食品

刻み昆布  820mg /10g
干しひじき  440mg /10g
干し柿  580mg /一個
アボガド  1000mg /一個
バナナ  390mg /可食部100g
キウイフルーツ  320mg /一個
メロン  340mg /100g
枝豆  350mg /50g
ジャガイモ  230mg /一個
サツマイモ  450mg /一個
さといも  300mg /一個
納豆  330mg /1パック
ほうれん草(ゆで)  450mg /可食部100g
春菊  300mg /50g
ブロッコリー  250mg /50g

備考

高血圧は、脳梗塞・脳出血・狭心症・心筋梗塞などを引き起こし、 50歳以上では2人に1人が高血圧症と推測されています。
  • 【減塩のコツ】
     1)旬の食材で素材の味を活かす
     2)品や調味料の塩分量を把握する
     3)酢や柑橘類・適度な香辛料やハーブ・香味野菜を上手に取り入れる
     4)減塩調味料なるものを知る
     5)天然の素材から出汁をとり料理に使う
     6)薄口の料理から濃い口の順番で食べる
     7)加工食品は気を付ける
    ※ (インスタントラーメン1食分の食塩は約7グラム)
  • 参考情報: